みなさん、「パッシブデザイン」あるいは「パッシブ設計」、「パッシブハウス」という言葉を耳にしたことはありますか?最近、建築業界ではもう流行語のようになっていて、今や、どんな住宅会社でも、「パッシブ」という言葉を多用するようになりました。そのため、誤解も多く生まれるようになりました。いずれにしても、これから住まいづくりを考える皆さんにとって、とても重要なキーワードになることは間違いありません。
そこで、本日は、この「パッシブ」という言葉について、正しい理解をしていただくため、誰でも分かる入門の入門編・・・になるような、分かりやすい具体例を用いて話をしてみたいと思います。
写真は、キノイエ上越モデルハウス「塩屋新田の家」の南側デッキ部分を6月8日正午に撮影したものです。2階の屋根の軒の影がちょうど1階南のサッシのラインより手前に落ちているのがお分かりでしょうか?ちなみに、そのもう少し先の6月21日は夏至です。その日の写真はありませんが、ほぼ今のラインと同じくらいです。つまり、真夏のいちばん日差しが厳しい時期に、サッシの内側には太陽光が入らないように軒の長さが設計されているのがキノイエの住まいです。反対に、真冬は太陽の位置がぐんと下がります。そのため、南の大きな窓を通してリビングの中に温かな陽射しが入り込むように工夫されています。
この塩屋新田の家も、軒の長さは、水上側(北側)、水下側(南側)、そしてけらば(東西方向)とそれぞれに固有の寸法が計算されています。単なる見た目のデザインの良し悪しではなく、一年間の日射角度を計算して設計されています。
ちなみに、塩屋新田の家の南側の庭には、モミジとセイヨウカマツカと呼ばれる2種類の落葉樹が植えられております。成長すると、隣地の視界を遮るとともに、夏は厳しい日射を緩和してくれます。冬になると葉はすべて落ち、貴重な太陽の光と熱を室内に届けてくれます。
「パッシブ」とは、和訳すると「受動的」という意味で、「能動的」を意味する「アクティブ」という言葉の対義語になります。つまり、「パッシブデザイン」、「パッシブ設計」とは、なるべく冷暖房機器の過剰な運転に頼らず、太陽の光や熱、そして風といった「自然エネルギー」をそのまま受動的に利用して、住まいと地球に負荷をかけない快適な暮らしを実現しようとする設計思想のことを言います。 太陽の光と熱、そして自然の風は¥0(タダ)です。自然の光や風を上手に活用して冬は暖かく、夏は涼しい住まいを実現することで、電気やガスなどへの依存率が減少し、省エネでありながら快適で健康的な暮らしが実現することができます。
軒の長い家。縁側があり、庭には落葉樹・・・実は、昔の日本の暮らしは、こうした考え方に基づいた家づくりを当たり前のように実践していました。夏は蒸し暑く、冬は寒い。その四季の厳しさを先人の様々な知恵と工夫で乗り越えてきました。しかし、高度経済成長の過程で、製品開発競争が起こり、私たちの暮らしの中に様々な機械器具が取り入れられると、電力・石油・ガスなどの需要がどんどん上がっていき、エネルギーの消費量、依存度が極めて高い国へと変貌していきました。今や世界レベルの問題となっている地球温暖化。日本はCo2の削減に対し、非常に高い削減目標を課せられています。達成のためには、日本のエネルギー消費の14%以上を占めている家庭用のエネルギー消費を抑えることが急務となっています。ちなみに、家庭用のエネルギー消費は、個人消費や世帯数の伸びにつれて大きく増加しており、1973年度を100とすると、2011年度は208.9と2倍以上に増加しています。(資源エネルギー庁「エネルギー白書2013」より)
パッシブデザインのこと、少しだけお分かりいただけましたでしょうか?パッシブ設計には、この他にも高い窓性能や断熱性能、気密性への適合や熱交換換気への対応など、クリアすべきいくつかの技術的なハードルがあります。私たちキノイエスタッフは、この上越地域の住宅会社でいちばん最初に一般社団法人パッシブハウスジャパンが認定する「省エネ建築診断士」の資格を取得し、パッシブハウスの研究に力を注いできました。
上越エリアでいち早く省エネ建築診断士の資格を取得したキノイエスタッフたち
省エネ先進国ドイツの厳しい基準をクリアし、日本国内で12番目に認定されたパッシブハウス「前沢パッシブハウス(富山県黒部市)」の施工を弊社で担当しました。(発注者:YKK不動産株式会社/設計:キーアーキテクツ/竣工:2015年11月)
パッシブ設計のさらに詳しいお話につきましては、今後少しずつこのブログでご紹介していきたいと思います。
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