上越地域でも見かけることが少なくなってきた「餅まき上棟式」。塩屋新田の家の建設にあたっては、あえて、この餅まき上棟式を行いました。
「上棟式」の歴史的な背景について、少しだけ簡単に触れてみましょう。上棟式とは、日本で建物の新築の際に行われる祭祀で、棟上げ(むねあげ)式、建前(たてまえ)、建舞(たてまい)とも呼ばれます。竣工後も建物が無事であるよう願って行われるもので、通常、柱・梁などの基本構造が完成して、棟木を上げる際に行われます。式の方法や次第には、地域による違いもあるようです。
そして、地域により、ここに「餅まき」という風習が加わります。餅をまく目的は、諸説ありますが、一般的には、様々な厄災を避けるためで、神饌であり保存食でもある餅をまくことが広まったとされています。そして、餅と一緒に、この上越地域では小銭をまく風習も残っています。そもそもこれは、「家を建てる」ということが、地域の住人たちによる助け合いの共同作業であったことに由来します。穴の開いた硬貨に紅白の紐を通して投げる風習には、「よきご縁となりますように」という意味も込められています。また、家を建てられるということは、一定の富を得たということの証でもあり、地域の人々にその幸せをお裾分けすることで、地域の中での人間関係をより円滑にするためのとても大切な習慣でした。
ところが、日本の経済成長がピークに向かう1980年代以降、世帯の核家族化が進行し、建売住宅などが大量に流通するような時代に突入すると、近所づきあいの希薄化が加速していき、次第に上棟式自体の重要性が薄らいでいきました。
近年では、「上棟式は、建主が大工や工事関係者に気持ちよく仕事を進めてもらう、もてなしの意味が強い」、「わずか1時間前後の儀式に十数万円かかる」として、簡略化や省略を勧める住宅会社も多くなりました。たしかに、建主様、同時に施工会社側にも物理的・時間的な負担が生じる「餅まき上棟式」の簡略化を勧めることは、考え方としてある意味合理的であるかもしれません。
しかし、考え方によっては、むしろこんな時代だからこそ、この儀式のもつ目に見えない影響力や、先祖からの繋がり、ご家族にとっての大切な思い出など、様々な判断材料をふまえた上で、実施の有無を決めていただくことがとても大切なのではないかと考えています。
先祖代々から住み慣れた地域、あるいは新たに近所付き合いを始めようとする土地で、家を建てるということは一生に何度もあることではありません。私たちは「最高の地元ライフ」とは何か?ということを常に追求しながら、お客様の人生の大きな節目である「住まいづくり」という場面で、様々な助言など、悔いのない関わり方をしていきたいと考えています。
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