世の中に存在するもので、美しいといわれる多くの工業製品やアート作品の共通した考え方に「黄金比(Golden Ratio)」というものが存在することをご存知ですか?
黄金比とは、線分を一点で分けるとき、長い部分と短い部分との比が、全体と長い部分との比に等しいような比率をいいます。具体的には、1対1.618という比率が黄金比で、実は自然界にもこの黄金比が反映された動植物が数多く存在しています。
この考え方の起源は、紀元前古代ギリシャの時代にまで遡ります。黄金比はヨーロッパでは古くから最も美しい長方形として親しまれ、ルーブル美術館にあるミロのビーナス、ダヴィンチのモナ・リザ、エジプトのギザにある大ピラミッド、ギリシャのパルテノン神殿、パリの凱旋門、スペインのサグラダ・ファミリア、そして日本でも鹿苑寺金閣をはじめとした多くの建築物にこの黄金比が使われているようです。
そして、現代では、多くの先進的な工業製品やアートデザインなどにもこの黄金比が利用されており、分かりやすいところでは、Twitterやペプシのロゴにもこの考え方が反映されています。
実は、偶然ですが、キノイエのデザインにも一部この考え方が反映されています。写真は、上越モデルハウス「塩屋新田の家」の外観に、少々乱暴ですが、黄金分割と黄金螺旋(対数螺旋)のベクトルを重ね合わせてみたものです。まちの顔になるような美しい外観を・・・と設計段階で試行錯誤した結果、玄関アプローチの位置、ベース(母屋)とゲヤの配置、庇の高さ等、おもしろいほどこの黄金比率に収まっています。
ちなみに、この黄金比の他にも、日本で発祥し、古くから多くの日本建築で使われている比率として、「白銀比」と呼ばれるものがあります。白銀比は2種類あり、「大和比」と呼ばれる1対1.414の比率と、「第2金属比」と呼ばれる1対2.424の比率があります。ちなみに、A3、A4といった用紙サイズの規格、薬師三尊像、法隆寺の他、多くの生け花、仏像の顔などには、大和比が使われています。
美しさとは、人それぞれ固有の感性だという意見もありますが、時が流れても色褪せない美しさには、この黄金比や白銀比のように、自然界、あるいは古代から受け継がれてきた普遍的な法則が存在しているのだと思います。
キノイエは、常に心地よいデザインを求めています。流行や斬新なアイディアにも学ぶべきことはたくさんありますが、それ以上に、この普遍的な美しさにこだわり、そのまちの顔となるようなデザインを追い求めていきたいと思います。
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