ずっと未完成状態が続いていた塩屋新田の家の庭が、このほどようやく完成しました。
ここまで完了が長引いたのは、竣工当時まだ計画中であった南側に隣接した建物の位置関係、外観の確定を確認した上で、リビングからの視界と、お隣さんからの視線との関係を見極めてからという事情がありました。庭づくりの成否は、隣接する家々との関係を考えてこそ成り立つものです。ソトを上手に取り込み、ナカの暮らしに広がりを生み出す庭の存在は非常に重要。だから、なるべく隣接建物の計画がある場合は、慌てずその完成を待ってから行うのがベターです。
今回の庭づくりにおいては、幸い、こちらのリビング側に面したお隣のお住まいの窓が水回りのすりガラス窓や収納室の窓が中心らしく、普段の生活シーンでほぼ直接的に目線が合うということがないということが分かりました。加えて、外壁もシンプルな黒単色の波型金属サイディングであったために、色彩的な干渉も少なく、周辺の視界を遮る役割も担ってくれています。結果としてプライバシー性の高い中庭のような空間になりました。母屋だけでなく、カーポートや離れとの連続性が生きるこの庭の利用価値はまさに無限大です。なお、西側の敷地はキノイエの住宅建設予定地でもあるため、塩屋新田の家とのつながりも考えて自由に考えることができ、2軒のつながりも含めてこれからのプランニングが非常に楽しみです。
完成といっても、本当の庭づくりは実はこれからが本番。庭に植えられた多くの植物たちがきちんと成長するように面倒を見ながら、小さな森をつくることが目標です。今回、庭木には、モミジやセイヨウカマツカ等の落葉樹に加え、ナンジャモンジャ等、四季折々の表情を楽しめる樹種を選びました。そして、ちょっとした遊び心で、中央に流木を配置。ちなみに、この流木、私たちの住む上越地域では、海岸に行けばそれなりに簡単に手に入る何の変哲もない代物ですが、所変わるとその価値は一気に変わります。特にこの上越地域から内陸部に位置する長野県内に住む方にとって、流木は非常に入手困難な高級品。おそらく、写真のサイズの流木だと、所変われば‟ん万円(?)”になる可能性もあります。
地元に眠る、こうした付加価値の高い素材に目を向け、暮らしの一部に反映させる・・・地元で生まれ育った私たちが家づくりで行うべき、とても大切な仕事であると考えています。家づくりを通して、ご家族にとっての「最高の地元ライフ」を実現すること。それが私たちの仕事です。
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