地元にあるちょっとした古い石積みの塀垣。
上越地域には、まだこうした古い構築物が様々な場所に残っています。そして、その地区のまちなみを形成する風景の一つとして溶け込んでいます。そしてよく見ると、その古さもまた、デザインとして見た時に様々なインスピレーションが生まれます。
例えば、その石積みの塀垣に生えた苔。苔は自然が生み出したアート。独特の質感を持ち、他の草木にはない色合いを持っています。また、陽の光を受けると鮮やかな色彩を放つという特徴も持ち合わせています。こうして、視点を変えると様々な生かし方が生まれてくる苔は、実際、すでに伝統的な和風建築の庭に留まらず、現代の住宅や商業施設などにも活躍の幅を広げ、進化を続けています。そんな素晴らしい素材が、このまちのあちこちに風景の一部となって存在しているのです。
ちなみに、2020年東京オリンピックの新国立競技場のデザイナーとしても注目を浴びている建築家の隈研吾氏も、軽井沢のアートミュージアムに「風通る白樺と苔の森(チャペル)」と題したこんな作品を残しています。
ソトとナカをつなぐ小さな邸宅。キノイエの設計思想には、こうしたまちの風景を構成する素材を生かすことも重要な仕事であると捉えています。
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