先日とある視察ツアーの中で、とても眩しく輝いている方々と出会いました。本日のその中のお一人をご紹介したいと思います。
新潟市の西蒲区にある養蜂業「はちみつ草野」さん。そこで代表を務める草野竜也さん(30)は、大学では情報工学を専攻していたものの、おじいさんが庭先でミツバチを飼っていたのを見て興味を持ち、養蜂の道へ入ったという異色の経歴をもつ若き養蜂家。
‟もしミツバチがいなくなったら、人類は4年しか生きられない。”
これは、アインシュタインの言葉だそうです。
地球上の植物はそのほとんが受粉という行為を通じて命をつないでいます。実は、その受粉という行為の約3分の2は、花から花へ飛び、甘い蜜と一緒にいのちを運ぶミツバチが担っているといわれています。だから、仮にミツバチが絶滅すると地球上の植物の半分以上が種子を作れなくなる恐れがあります。特に人間が食糧としている作物の多くは今やミツバチの協力なくては生産出来ない状態にあるため、その食糧生産に対する被害率はさらに高まるわけです。
つまり、養蜂家の仕事とは、単にはちみつを採取し生計を立てることだけではなく、植物の花粉交配を支えることで地球上の植物、ひいては私たちの暮らしを守る仕事でもあるわけです。
花の種類によって、ハチミツの色、状態(固形、液状等)、香り、味は全て違います。草野さんは毎年春になると、花をもとめてミツバチたちとともに新潟県内を旅します。一番人気の「山桜」は次のシーズンまで品切れ状態だそうです。
草野さんのはちみつは純国産100%。現在、国内に流通しているはちみつは大半が輸入に頼っており、純国産のはちみつは全体の7%程度と言われています。ちなみに、国内のはちみつは大半が加熱処理が施されています。これは、はちみつをやわらかくして瓶に入れやすくしたり、水分を飛ばして甘さを濃くしたりできる代わりに本来の栄養分(ビタミン・ミネラル・酵素など)が失われ、香りも損なってしまうという大きなデメリットがあります。そのため、草野さんのはちみつは一貫して非加熱処理にこだわっています。そして、花の名所からミツバチだけが知る穴場まで、様々な土地から花を集めるため、毎年各地を旅しているそうです。南北に長い新潟県は、日本海に面した海岸部、地平線まで続く広大な平野、深く険しい山々など、多様な地形を持つ土地。また、四季のコントラストがはっきりとしていることから、さまざまな植物が自生しています。花や採蜜地で異なる味や香りをそのまま楽しめるのも、草野さんのはちみつならではです。
明確な使命感を持ち、自然を感じ、ミツバチに寄り添い生きる・・・みつばちのことを熱く、そして楽しそうに語る草野さんの姿はとても眩しく、仕事に誇りをもって生きるその姿は誰の目から見てもかっこいいと思える存在です。なんと、彼のウェブサイトを見て、北海道から15歳の少年が一人で草野さんに会いに来たということがあったそうです。まさに、最高の地元ライフを生み出す地域のエンジンたる人だと感じました。
そんな草野さんのプロダクトの中に、ミツロウ(蜜蠟)がありました。「建築用に販売されたりしないのですか?」と聞くと、「実はこれからどう生かしていくか慎重に考えているところなんです。」という答えが返ってきました。新潟で育てたミツバチが生み出す新潟産のミツロウ。地元でつくられた木の家にぜひ生かしてみたいと思えるアイテムでした。ミツロウに限らず、こんな素晴らしい夢を持つ若き実業家と一緒にお仕事ができる日が来ればと素直に思います。
今回の視察では、こうした最高の地元ライフを生み出す眩しい人たちとたくさん出会うことができました。このブログで、また少しずつご紹介できればと考えています。
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