足元の資産
November 27, 2017
先日、弊社も参加している異業種勉強会「糸魚川ものづくりネットワーク(通称:imaon)」主催による公開セミナーが開催されました。講師は、株式会社自遊人 代表取締役 クリエイティブディレクターの岩佐十良(いわさ とおる)氏。
岩佐十良氏は、学生時代にデザイン会社を立ち上げた後、『東京ウォーカー』などの雑誌編集プロダクションに携わり、その後『自遊人』という雑誌を創刊しました。そして、次第に地方のおいしいお米を探して販売するなかで新潟県南魚沼に移住。2014年には、地元の古民家を改装して「里山十帖」という宿泊施設をオープンします。
里山十帖は、自然豊かな南魚沼の山の中にひっそりと佇む一軒家の旅館。中に入ると、目の前に広がるのは豪雪に耐えた古い梁や柱が表しになった吹き抜け空間。そこにアルネ・ヤコブセンのエッグチェアやアイリーン・グレイのアジャスタテーブルなど世界を代表するデザイナー家具や創造力をかき立てる現代アートに囲まれた独創的な空間は、訪れた人を別世界に包み込みます。そして、この宿の最大の魅力は食。日本海の魚はもちろんですが、意外と知られていない国内作付面積No.1で種類も豊富なナス料理、季節を感じる旬の山菜料理など、地元新潟の力強い食文化を余すところなく表現した料理の数々は、多くの宿泊客の共感を生み、口コミの連鎖でオープン数ヶ月以降からずっと満室状態が続く人気の宿となりました。さらに、2014年度グッドデザイン賞の「グッドデザイン・ベスト100」並びに「ものづくりデザイン賞(中小企業庁長官賞)」を受賞しています。この「ベスト100」&「ものづくりデザイン賞(中小企業庁長官賞)」受賞は宿泊施設としては初めてのことで、従来の旅館とは異なる「提案型施設」「体感するメディア」として高く評価されています。
そして岩佐代表は、現在、私たちの地元上越地域で話題となっているリゾート列車「えちごトキめきリゾート雪月花」の食と接客のプロデュースを行っていることでも知られています。
画像:えちごときめき鉄道HPより
画像:上越タウンジャーナル記事より(地元糸魚川の料亭「鶴来家」さんの提供する月コースの料理)
そんな岩佐代表のお話を聴こうと、会場には80名近い大勢の参加者が集まりました。弊社も岩佐氏の話を聴きたいと10名ものスタッフが参加。自分たちで言うのも何なのですが、本当に勉強熱心なスタッフが多い会社です(笑)
講演のテーマは、「地域を盛り上げる デザイン的思考とイノベーション」。昨年暮の大火からの復興に向けて歩みを始めた糸魚川市のこれからの地域ブランディングにとって核心を突く様々なヒントが語られました。
デザイン的思考とは、単なるビジュアルデザインの話ではなく、身近にあるものの課題を解決する時に必要な考え方。統計や市場調査などのビッグデータを基に解決策を考えるロジカルシンキングとは異なり、人の感じ方や発想を大切にした考え方。生産労働人口が急速に減少する日本。毎日大量の情報が手のひらをすり抜けていくスマホ時代に、「「人が集まるリアルな場」こそが最大のメディアである」と語る岩佐氏。私たちが暮らしているこのまちの身近な暮らしそのものの中に美しい、おいしいと感じる心や感性に価値を見出すことが大切であるという岩佐氏のお話は非常に説得力があり、80分の講演時間はあっという間でした。その岩佐氏の言葉で、特に印象的だったのが、「自分たちが地元を代表するメディアだと自信を持ってください」というメッセージ。地域を盛り上げる貴重な資産は、他でもなく私たちの足元にあるのだと確信した素晴らしい一日でした。
「自遊人(里山十帖)」のサイト
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