日本の住宅から「気密性能」基準が外れた理由
January 26, 2018
記録的な寒波の到来で、ここ上越地域も積雪で交通が混乱している上に、築年数の長い住宅では特に水道管の凍結や破裂などが各地で発生しているようです。弊社にも除雪のご依頼や、水道管の復旧のご依頼などのお電話をたくさんいただいています。
忘れた頃にやってくる雪国本来の寒さ。皆様の住まいはいかがでしょうか?ぐっと冷え込んだことで、住まいの温熱環境には様々な違いが発生していることと思います。
特に、暖房の効きの違い。設定温度を高めにしてはいるものの、なぜか足元が温まらない。どこかから冷気が流れてくるので、ファンヒーターやエアコンの前から離れたくない・・・なんてお宅もあるのではないでしょうか?
問題は、その住まいの築年数です。古い住宅であれば致し方ありませんが、実際のところ、ここ数年の間に新築された住まいの中にもそういった声が聞かれるケースが多々あります。「今どきの住宅って、どれも高気密高断熱になっているんじゃないの?」・・・本日は、この違いがなぜ起こるのか?ということについてお話ししたいと思います。
国は、1999年に制定された次世代省エネルギー基準から建物の隙間から逃げる熱を抑えるため、初めて気密性の基準が導入されました。それは、建物の気密性能が断熱性能の低下を防止する上でとても重要な要素だと理解していたからです。
しかし、2013年に改正された省エネルギー基準では、突如この隙間数値が削除されていまいます。
時代に逆行して基準が消える?なぜでしょう?国の説明文面には・・・
「一定程度の気密性が確保される状況にあること、また住宅性能表示制度における特別評価方法認定の蓄積により、多様な方法による気密性の確保が可能であることが明らかになってきたことなどから気密住宅に関わる定量的基準(相当隙間面積の基準)は除外されました。」
とあります。・・・現代の住宅は「気密の確保ができてきた、あるいはできる」という、少し違和感のある書き方で説明されているのです。気密性能は断熱性能と切っても切り離せない関係とわかっていながらなぜ除外されたのか、住宅業界の中では様々な憶測が流れていますが、何より、このことによって、住宅メーカー側は気密性能をカタログ等に義務のように表記しなくて済むことになり、設計上の断熱性能値の表示だけで戦えるようになったのです。
もちろん、一部の大手メーカーや量販住宅会社の中には、気密測定検査を実施するところもありますが、問題はその測定検査をどの段階で行うか?という点。測定のタイミングが電気配管や設備配管、ポスト口などが壁を貫通する前、もしくは貫通後の配管前に仮施工で穴を完全密封した状態で実施するという方法では、実際の正しい隙間相当面積よりも小さな数値が記録されます。ですが実際は、測定後に配管等で各所に様々な隙間が発生するわけですから、その処理がどのように行われているかが確認できない限り、入居後の気密性能を保証することはできません。いずれにしても、国による決まり事がないわけですから、「高気密」とは結局のところ、売り手にとって都合のよい表現が可能になるのです。
私たちは、正々堂々と住宅の高性能化に向き合いたいと思っています。現在、私たちの手掛ける住宅は全棟隙間相当面積(C値)の測定を完成前に2回実施しており、当然ながら、全ての貫通処理が行われた後の実測値をお客様にもお示ししています。
キノイエのブログでは、過去にもこの住宅の温熱性能に関する様々な情報を皆様に発信しています。もしご興味がありましたら、ぜひ過去の記事にも目を通してみてください。
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