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エアコンの効果は「すき間」次第

August 27, 2018

キノイエでは、隙間相当面積(C値)の測定検査(気密測定)を全棟標準で2回(完成前/完成後)行っていることを以前からお伝えしておりますが、今回はあらためて住宅の隙間についてのお話をしたいと思います。

 

 

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おさらいですが、C値とは、家の延床面積に対する 「 隙間面積 」 の割合を示す数値で、床面積1㎡当たりどれ位(何㎠)の隙間があるのかを表した数値です。この値がゼロに近いほど、隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。

 

C値 = 家全体の隙間の合計(㎠) ÷ 延床面積(㎡)

 

 

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ここに、来月完成見学会を予定しています「上刈の家」の完成前のC値測定結果がありますので、こちらを例に見てみましょう。

 

 

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気密測定試験は、正確性を担保するために原則3回測定を行い、その中間値から総面積を割って隙間相当面積(C値)を算出します。

 

 

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まずは1回目。赤線で囲んだ数字「総相当面積:αA=32㎠」 つまり、「この住まいの隙間面積は全部で32㎠でした」という結果になります。これは、名刺サイズに例えると、その6割強のサイズしか隙間がないという結果です。

 

 

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続いて2回目の測定結果。総相当面積:αA=29㎠。1回目よりも良い値が出ました。名刺で例えると、ほぼ6割の大きさしか隙間がないという数値。

 

 

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続いて3回目。総相当面積:αA=29㎠。2回目と同じ好スコアです。

 

 

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さて、これを全3回の中の中間値を取り出し、全体面積で割るのですが、後半2回が同スコアでしたので、今回はあえて値の悪い方の αA=32㎠ を使って割り出してみます。その結果は、

 

 

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C値 = 家全体の隙間の合計 32㎠ ÷ 延床面積 143.955㎡ = 0.22229・・・㎠/㎡

 

 

ほぼC値=0.2㎠/㎡、切り上げ値でも C値=0.3㎠/㎡ という好スコアになりました。現在、日本の既存住宅の9割以上は、気密測定されていない上、推定C値も5.0㎠/㎡以上(大半は測定不能レベルの無気密住宅)と言われていますので、この上刈の家の気密性能がいかに高いかということがお分かりいただけるかと思います。

 

 

C値の比較_キノイエ

 

 

「冬あたたかい家にするためには、隙間がない方がよい」ということは、なんとなく皆さんもご理解されていると思いますが、それは真夏も同じ。むしろ、連日猛暑が続いた今年のような状態で、家の中をエアコン1台で涼しく保つためには、断熱性能はもちろんですが、この隙間相当面積(C値)をいかに小さくするかということがとても重要になってきます。隙間を極力少なくした高気密の家にしなければ、エアコンの冷気が家の中で均一に循環されず、1階と2階の温度ムラはもちろん、各部屋に冷気が行き届かず、結果としてエアコン代がかさむ家、夜寝苦しい家になってしまいます。それどころか、家の壁の中で室内の冷気と外の暖気がぶつかり、そこから結露が発生し、気づかないうちに家中カビだらけになってしまう恐れがあるのです。良い断熱材を使えば使うほど、一箇所に指一本分の隙間があれば結露します。ところが、今でも「すき間がないと息苦しい家になりますよ」とか、「多少すき間があった方が風通しがよくなりますよ」などと説明する住宅営業マンもいるようです。家の光熱費、建物寿命、そして皆様の健康や命を守る観点から全く正反対のとても危険な説明ですので十分ご注意ください。

 

 

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このブログで繰り返しお伝えしている、いちばん重要なことですが、家の断熱性能には国の基準がありながら、不思議なことに、この気密性能については、国の基準もなければ、測定義務もありません。「高気密高断熱」をうたう住宅会社はたくさん存在しますが、その中で、全棟気密測定を標準化し、お客様に実測値をお示ししている会社はそう多くはありません。また、「当社のC値は○○㎠/㎡です」と宣伝する会社の中にも、過去の計測値をそのまま自社の標準値のように謳っているだけで、一棟一棟実測をしていない会社も存在します。裏を返せば、実測値を都度公開するということは、その自信がなければ簡単にはできないことでもあるのです。ぜひ、皆さんの目で、本物の高気密高断熱住宅を正しく見分けていただきたいと思います。

 

 

※なお、C値を取りまく日本の事情や詳しい内容について触れた過去のブログ記事も併せてご参照ください。

 

 

「すき間だらけの日本の住宅(前編)」

 

「すき間だらけの日本の住宅(後編)」

 

「日本の住宅から「気密性能」基準が外れた理由」

 

 

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