石井啓一国土交通相は19日の閣議後記者会見で、連日報道されています賃貸アパート大手企業の施工不良について、173の自治体が1895棟(1月末時点)を建築基準法違反と認定したと明らかにしました。今後、再発防止のための有識者検討委員会を近く設置する方針も示したようですが、被害者となってしまわれた全国大勢のオーナー様、そして最大1万4000人超の入居者様が転居を迫られる事態となっている報道を見るに、同じ住宅を扱う企業として本当にやるせない気持ちです。
本来であれば業界をリードするべき有名大手企業から次々にこうした不正が発覚するという状況は、業界全体の信用を大きく失墜させることにつながり、絶対にあってはならないことです。住宅の供給競争の副作用が「性能度外視」となっている状況に、私たちは絶対に巻き込まれないという意志を強くしたところです。
さて、上記の事件は、防火性能にまつわる重大な違反になりますが、戸建て住宅において性能が省略されやすい項目の一つに「すき間」の大きさがあります。このブログでも再三登場する内容ですが、住宅の隙間の大きさを示す「隙間相当面積(C値)」は、本来、設計上の住宅の断熱性能が正常に機能するか否かを大きく左右する重要な指標。設計数値では表すことができない性能値であり、実測定しなければ担保できない性能値になります。にもかかわらず、2013年に改正された省エネルギー基準でなぜかこの項目が突如除外されています。「断熱性能は設計上で表示できるけど、すき間については表示義務化されていないからどうにでもできる」という悪意ある業者が表れたとしても、それを防ぐことはできないのが現在の法律なのです。
そこで、弊社は、計測を自社基準で全棟義務化しています。
例えば、こちらは昨年12月、上越市内で建築中の住宅について気密測定試験を行った時のものです。
3回計測した数値をそのままお見せします。
隙間相当面積(C値)数値の算出方法は、少し難しいですが、こうです。
C値 = 家全体の隙間の合計(3回測定試験の中間値) 28㎠ ÷ 延床面積 119.785㎡ = 0.23375・・・ ≒ 0.3㎠/㎡ という結果です(ほぼC値=0.2㎠/㎡)
C値=0.3㎠/㎡、つまり、仮に40坪の住まいであれば、家全体でなんと名刺の7割程度のサイズのすき間しかないということになります。
ちなみに、弊社はC値=0.5㎠/㎡以下にならなければ、次工程に進まないということを社内基準として徹底しています。法律で義務化されていない数値であっても、住宅の省エネ性能そのものに直接影響を及ぼすものであれば、しっかりと実測してお客様に安心していただくということが大事であると考えています。
少し専門的な内容になりますが、ご興味をお持ちの方は、ぜひ過去のブログ内容にも目を通していただければ幸いです。
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