空き家は地域の宝
November 17, 2019
先日、弊社代表猪又が理事を務める「空き家活用ネットワーク糸魚川(通称:いえかつ糸魚川)」主催による公開セミナーが開催されました。
いえかつ糸魚川設立3年目にして初の公開事業。「空き家は地域の宝、空き家から企業や地域を元気にしていく実例報告」と題し、講師としてお招きしたのは、お隣の朝日町からお二人のキーマン。家印株式会社代表取締役の坂東秀昭さんと、朝日町移住定住相談員の善田洋一郎さんです。代表猪又がどうしてもお招きしたいと懇願しての実現でした。
坂東社長(左)と善田氏(右)
坂東社長は、1974年富山県下新川郡朝日町にて、米、洋品、呉服などを扱う老舗商店の15代目として生まれ、2006年に坂東建築設計室を創業。その後、2015年に設計から施工まで一貫して行う、現在の家印(やじるし)株式会社を設立。実は、起業してから十数年間は、なかなか仕事がもらえず、ほとんど生計が成り立っていない状態を過ごしていたのだそうですが、ある時から考えを改め、「仕事は信用信頼や実績が大切」だという思いの下、時にはボランティアのような活動も含め、地域で困っている課題に素直に取り組むことから始めたそうです。そのいちばんの課題が空き家でした。空き家が毎年30件~40件というペースで増え続けていた当時の朝日町の地域課題に正面から向き合い、坂東社長自らが民間と行政の懸け橋となり、移住のサポート、地域のコミュニティーづくり、企業のサテライト拠点づくりや起業家育成道場など様々な活動を精力的に展開することで、朝日町の空き家増加数を3年間でなんと実質ゼロに導いた中心的役割を果たされています。講演では、そこに至るまでの経緯や様々な取り組み事例をお聞きしながら、糸魚川市の空き家対策のヒントにつながる貴重なお話をたくさんお聞きすることができました。
つづいて、パート2としてお話しいただきましたのは、朝日町の職員でいらっしゃいます善田洋一郎さん。長野県ご出身の善田様は、関西の大学を経て、愛知県でNPO法人に勤務。東京ご出身の奥様との結婚を機に、奥様の祖父母が暮らした住まいがある朝日町に2012年より移住(いわゆる「孫ターン」)され、現在、移住定住相談員として空き家情報バンクの運営を担当されています。朝日町に移住した頃は元々林業に従事していた善田さん。実は、「相談員にならないか?」と声をかけたのが坂東社長だったのです。
その空き家情報バンクは、2015年度に開設されましたが、現在130軒以上の空き家が登録されており、これまでに90件以上のマッチングを実現されています。善田さんは「移住体験お試し住宅」などの取り組みを発案されるなど、自らIターン者である視点を生かして、様々な取り組みを展開されています。この日はそんな善田さんから空き家バンクの運営や課題等についてお話しいただきました。
会場は、定員80名に対し、市外からも大勢の行政関係者や業界関係者の方々にご参加いただき、100名近いお申し込みで満員御礼状態。参加者の皆さんからは、「講師の熱量がすごくあり、地域の方を巻き込んでいる姿に感動しました」、「官民が協力して、いかに町内を盛り上げていこうという力強さを感じました」等、多くの賛辞をいただきました。
今回、快くご講演を快諾して下さった坂東社長からは、「糸魚川市は隣の町なのに互いの交流情報がほとんどなく、経済的な行き来もほとんどなく以前からとてももったいないと感じていました。連携することでお互いに欠けているところが補え、お互いにもっと良くなれて、継続すれば一緒に日本の空き家利活用先進モデル地域になりうると感じました」というお言葉を頂戴しています。今後、県をまたいだ隣同士の地域が連携し、全国に先駆けた空き家活性化の成功事例が生まれることが期待されます。
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