今日は前回に続いて「おうち時間」を考える第2回。今回は、「仕事」と「私事」編です。
「在宅ワーク」「リモートワーク」という言葉が、少しずつ地方の私たちの暮らしの中にも入り込んできているように思います。都会のビジネスマンだけではなく、私たちの暮らすここ新潟県上越地域の多くの職場の中でも、密を避ける働き方、職場にこだわらない働き方、集まらない仕事スタイルといった考え方が浸透し、家と職場の境目が薄くなりつつあります。
そうなると、「家で仕事」という概念も、少し前の「持ち込み残業」というマイナスイメージから、出社を必要としない仕事は家でさっと片付けて、残り時間を自分のために有効に使うというポジティブな志向の働き方も増えてくる傾向にあります。また、「仕事」だけでなく、趣味やセカンドワークのような「私事」の時間に対してもよりフォーカスされる傾向にあると思います。
そこで問題は、家の中に「ワーク」に適した居場所があるかどうか?です。家に書斎コーナーを設けるケースも多々ありますが、実際はTVと食事と一体のダイニングテーブルの方が落ち着く場所になっていたりします(実は現在の私の仮住まいがそんな感じです(笑))。
また、実は「書斎スペース」をつくった多くの住まいで、その使われ方が必ずしも当初の目論見通りにはなっていないケースも多く、子どもの自学スペースに占領されたり、単なる書棚や生活雑貨置き場になっていたり・・・それは物理的な事情だけでなく、そもそもその場所と機能がワークに適した居心地のいい場所であったかどうか?ということも見逃せない点です。
よく設計段階で「独りっきりになれる空間」というワードが出てきます。確かに、オンライン会議の普及により「隔離」や「遮蔽」といった物理的ニーズが増えているのも事実。しかし、単に隔離部屋をつくるという発想だけでは、本当の答えにはたどり着きません。もしかするとその人によっては、独りになりたいのではなく、「頭を切り替えるスイッチがほしい」という動機もあれば、「子ども勉強の邪魔にならないようにしたい」、「奥様にリラックスタイムをあげたい」など動機は様々。また、実は「独りっきり」とは言いつつも、実は「つながっていたい」という裏腹なニーズも存在したりします。「書斎」「独り」というその言葉の奥にある、その人が真に求めていることの解を探すことがとても重要になります。私たちの設計ではその本当の「居場所」を見つけ出すために、初期の段階で、お施主様の一日の暮らしぶりをよくヒアリングしたり、必要に応じて観察させていただくことで、思いもかけなかったような居場所が、最適なワークスペースになることもあります。
冒頭にも触れましたが、ワークスペースは、「仕事」だけでなく、その延長線上に「私事」としても重要な居場所になります。よく仕事場と趣味の部屋は別と考えられがちですが、仕事も私事も、同じ感覚をもった一人の人間のアクション。したがって、その使われ方はとてもシームレスにつながっていくと考えるのが自然です。仕事をするにも、映画を見るにも、読書をするにも、うたた寝するにも、その人にとってその場所が快適な空間といえる一点をつくりあげることも私たちにとって大事な仕事になるのです。
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