「おうち時間」を考える第3回。今回は、「季節」との関わりで少し触れてみたいと思います。
突然ですが、みなさんのお住まいは、季節の移ろいに対し、「ひらいて」いますか?それとも「とじて」いますか?日本の四季の変化は、美しくも、時に厳しい自然環境の影響を住生活に与えます。私たちの住まいは、それに対し「性能の進化」で対応してきました。
性能の進化は、同時に外部環境との遮蔽や隔離を進めました。その結果、住まいはシェルターのように変わっていきました。私たちのような住宅の作り手の多くは設計上の性能「数値」の向上とコストパフォーマンスの追求の中で、いちばん合理的で効率的な方法を採用してきたのです。つまりは、建物はシンプルな箱型へ、そして窓は小さく、その数を減らすことで対応してきました。私たちの住むこの新潟県上越地域の住宅も例外ではありません。
そして、人が建物の合理性に合わせるように、また、核家族化、少子化など様々な社会環境の変化で暮らし方も少しずつ変化。まさに住宅のトレンドは、常に社会の縮図を具現化しているといえます。
ところが、今回のような急激な社会環境の変化で、私たちは「おうち時間」についてあらためて見つめ直す貴重な機会を得ました。これまで以上に家で過ごす時間が増えたとき、シェルターのように囲われたその住まいは本当に心地よい暮らしを提供してくれているでしょうか?
夏の厳しい蒸し暑さ、新潟の冬の寒さなど、厳しい環境に対し、私たちの住まいは「とじる」性能ばかりを追い求めてきたように思います。天気のよい日は窓を開放してソトの自然を思い切り取り込む。また雨風雪の日も窓の向こうの景色を楽しめるような視線配置など、ソトに「ひらく」家づくりが今あらためて求められていると思います。
雨の日も窓の向こうの景色が愛おしくなる住まい
秋の夜長に虫の声や微かな風の音を感じる住まい
白銀の世界に変わった玄関先や庭先で子どもたちのはしゃぐ声が聞こえる日常
この機会に、本来あるべき家づくりの本質について見つめ直してみませんか。
「頸城の家」(上越市)オーナー様ご提供
「西本町の家」(上越市)オーナー様提供
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