2020年7月20日、上越市西本町3の直江津ショッピングセンター2階に「MUJI 無印良品 直江津」がついにオープンしました。コンセプトは「地域の“くらしの真ん中に”」。オープンにあたり、全国から公募した社員が事前の上越市内フィールドワークを実施。そこで生まれた様々な地域密着のアイデアを反映させた挑戦的なお店になります。
直江津ショッピングセンターは、2019年5月にキーテナントであったイトーヨーカドー直江津店が撤退していましたが、このテナント2階部分のワンフロアが無印良品で埋め尽くされています。売り場総面積は約5,830平方メートルで、同社の取り扱いブランドのほとんどとなる約7,000アイテムの商品が並び、無印良品としては世界最大級の広さになります。
新潟県補助事業である「令和元年度 ふるさと新潟木づかい事業」により、店内は雁木通りをイメージした梁をはじめ、至る所に上越産の杉がふんだんに使用されています。地元密着を意識した設計になっています。
店内のメインコンテンツともいえる「BOOKS & CAFÉ」コーナーは、MUJI BOOKSとスターバックスコーヒーで構成されており、ひときわ目を惹きます。
スターバックスコーヒーが無印良品内に出店するのは、この直江津店が初めて。というより、実は、無印良品自体がこうしたサブリースの形で外部企業に売り場内に出店させたのは、この直江津店が初めて。他にもカルディコーヒーファームや久世福商店(長野)などが参加しています。
地元上越産の杉材をふんだんに使用した本棚が渦を巻くように並ぶ同コーナーには、食と絵本を中心とした書籍と古本約3万5,000冊が並びます。本を買わなくても3冊までならスタバに持ち込んで読めるというのもうれしい仕掛け。
スターバックスコーヒー裏面の壁画コンセプトは、上越市出身の児童文学作家・小川未明の代表作と店のつながりを表す人魚のアートが描かれています。ここでも地元上越地域を意識した工夫がなされています。
店内には他にもフードコートとして「なおえつ良品食堂」があります。妙高名物「とん汁のたちばな」さんからつくり方を教わった豚汁など、随所に地元との共生を意識したメニューも並んでいます。将来的には地元企業が自ら出店・運営できるように促していくことで地域活性化に貢献しようという狙いがあります。
無印良品の住宅ブランド「陽の家」のショールームも全国で初めて店舗内に設置されました。
ここでは、住宅と暮らしに関する様々なアイテムが取り揃えられています。ハウスメーカーとは一線を画すシンプルで自然派志向の暮らしのイメージ。家づくりを考える人にとっては、暮らしのショーウィンドウとしての利用価値は大いにあるのではないかと思います。
写真:キノイエ「南寺町の家」(糸魚川市)
ちなみに、上の写真は私たちの「キノイエ」。実は無印良品さんのアイテムとの親和性も高く、実際にキノイエの住まいを建てられたオーナー様の中にも無印良品ユーザーがいらっしゃいます。また、反対に、木の家づくりを得意とし、地元産の杉をはじめ、自然素材にこだわり、ここちよい暮らしを設計する私たちの家づくりの価値など、無印さんとの比較を通じてより一層理解が深まるのではないかと私たちは考えています。
無印良品 直江津は、JAえちご上越の農産物直売所「あるるん畑」とも連携。上越産の野菜や米など約100品目を販売する「なおえつ良品市場」も地域連携の特徴的な例。下の写真の通り、ここまで潔く上越産杉材を取り入れる無印良品の店舗デザインの発信は、地元の杉材に対する肯定的なイメージを増幅させ、多くの上越市民のマインドに「地元×デザインがいい」というパラダイムシフトをひき起こしてくれたのではないかと感じています。
また、店内には、上越市の後援により自習や休憩スペースとして開放する「Open MUJI」と呼ばれるコミュニティースペースもあります。
今後、こちらのスペースでは、デザイナーの展示会や同店スタッフによるワークショップなどのイベントも開催する予定とのこと。また、オープンキッチン設備も充実。料理教室や関連イベント、キャンプ関連のワークショップも積極的に実施予定としており、ここからも地域との共生、土着化にかける無印良品の本気度が伝わってきます。
この他、「くらしの備え。いつものもしも。」をコンセプトに、普段から使っているアイテムを万が一の災害時に防災用品として活用できるよう提案する「MUJI CAMP TOOLS」コーナーを無印良品として初めて設け、無印の商品と合わせ国内外の20アウトドアメーカーの商品が並べられています。
コロナ禍でのオープンでありながらも、休日は特に隣県からの来場もあり、時間帯によっては入場制限がかかるなど、店内は大変なにぎわいで、アクセス道路もやや渋滞気味になります。
実はそこから車でわずか数分の通り沿いに私たちカネタ建設の上越店があります。店内は木をふんだんに使っていることから、無印良品 直江津を見てからご来店いただいたお客様から、「MUJIさんの別館みたい」という感想をいただくこともあったります(笑)
ちょっと便乗したような感じ(笑)に見えますが、私たちの店舗はそれ以前に完成していますのでそこに意図はありません。ですが、お客様のご要望に応じ、無印良品のアイテムや世界観からインスパイアされた暮らしのイメージを具現化するお手伝いもまた私たちの得意分野。一方で、地域密着の建築設計のプロとしてより有益な情報をご提供し、失敗しない家づくりをナビゲートすることも私たちの重要な仕事だと考えています。
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