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20年の歳月をかけて

July 2, 2017

前回のブログで、伊勢神宮の話題に触れましたが、本日はその続きで、ちょっとした建築のお話です。

 

 

御稲御倉(みしねのみくら)

 

 

写真は伊勢神宮の内宮にある「御稲御倉(みしねのみくら)」。御稲御倉は、内宮の30社ある所管社のうち第6位の社格を持っています。創建年は不明ですが、推定では600年から750年前からだといわれています。御稲御倉には、神嘗祭にて神様へお供えするイネが約1年分ほど納められています。

 

 

外幣殿(げへいでん)

 

 

またその近くには、外幣殿(げへいでん)があります。神宮会館HPによると「ご正宮瑞垣内の東宝殿を内の幣帛殿(へいはくでん)とすれば、これは外の幣帛殿にあたるものである。古くは皇后陛下・皇太子殿下の幣帛や古神宝類を納めていたが、現在は古神宝類が納められている。」とあります。

 

 

さて、今回はこの2つの建物にご注目。

 

 

 

 

神社本殿形式の一種で素木造 (しらきづくり) 、前回のブログでもご紹介しましたが、屋根は切妻造で、正面に向かって屋根の勾配が流れている「平入り」(左右に屋根勾配が流れる形を「妻入り」といいます)とよばれる形をとっています。屋上に千木 (ちぎ) 、鰹木 (かつおぎ) を載せ、両側面に棟持柱 (むなもちばしら) を立てています。このような一連の伊勢神宮の様式を特に唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)といいます。

 

 

 

 

しかし、写真をご覧になってお分かりのように、この棟持柱と呼ばれる丸い柱は、正確には屋根を支えていない状態であることが分かります。これは、中に保管されているお米等に虫がつかないようにするための工夫で、収納壁の横板を上からの屋根の重みで押さえ、常に隙間のない状態をつくります。よって丸い柱は常に浮いた状態。屋根は年月をかけてゆっくりと沈み、この丸い柱の先端と屋根とが合わさるのがなんと20年後。それが式年遷宮として決められた年数となっているのです。

 

 

 

20年かけてこの建物の機能は役割を全うし、式年遷宮を迎えます。何百年以上も前の当時の建築理論と技術にただただ敬服するばかりです。

 

 

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