木陰を楽しむアプローチ
May 21, 2018
今週末に完成見学会(一般公開)を予定している「西本町の家」(上越市内)の植栽について、本日は少し解説してみたいと思います。
厳選された樹種は全部で4本。まず、アプローチの先頭には、この家のシンボルかつ目隠しとしての役割を果たす「ソヨゴ」が立っています。ソヨゴという名前の由来は、波状の葉がそよそよと風に揺れることにちなんでおり、その名の通り、葉の揺らめきが人々の心を癒してくれる存在。また、常緑樹の中では葉色が明るく、窓の向こうの景色を明るく演出してくれる重要な役割を担っています。窓の向こうでやさしく揺れる緑の気配を感じながら目覚める朝は格別でしょう。
そして、その奥、寝室の南窓からよく見える場所には樹形が美しく庭木や街路樹として人気のある「ヤマボウシ」が顔を覗かせています。ヤマボウシは、ハナミズキとよく似ており、同じく街路樹や庭木、シンボルツリーとしてよく使われますが、ハナミズキとの決定的な違いはその出身地。ハナミズキは別名「アメリカヤマボウシ」という名の通り外来種。ヤマボウシは純国産種。ここは迷わず日本原産のヤマボウシを選んでみました。
そして、メインのリビング南面のデッキから望む視界に飛び込んでくるのは、新緑と紅葉がとても美しく四季の移ろいを楽しませてくれる「ハウチワカエデ」とハート形の葉がとても愛らしい「カツラ」の樹。その形が、映画や芝居に出てくるような鳥の羽で作った団扇に似ていることから命名されたハウチワカエデは日本のモミジの中では葉がいちばん大きく見応えがあります。 また、ホウキを逆さにしたような樹形で、秋には黄色やオレンジの紅葉となり冬には落葉するカツラは、葉からキャラメルのような甘い匂いがあり、視覚と共に嗅覚も楽しめる庭木です。
リビングから眺めるそれぞれの樹木は、視覚的な折り重なりと同時に、四季を通じて様々な表情を見せてくれます。
そして、同時にそれぞれの樹木は、玄関アプローチの街路樹としての役割を兼ねています。全体のコンセプトは、「木陰を楽しむアプローチ」。住まい手はもちろん、この住まいを訪れる人にとっても敷地から玄関にたどり着くまでの動線を楽しめる設計を心がけました。
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“その場の空気を変える”素材
May 14, 2018
かつて近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトが旧帝国ホテルの設計で採用したことでも有名な「大谷石(おおやいし)」。5/26(土)・27(日)に見学会を予定している「西本町の家」の玄関土間スペースにもこの大谷石を採用しました。
大谷石は栃木県宇都宮市大谷地区で生産される緑色擬灰岩の自然石。柔らかくて加工しやすい上、熱を通しにくく耐久性に優れていることから、日本では古くからかまどの土台や建築内外装材、敷石、屋根材等、多くの日常生活の場面に用いられてきました。
大谷石地下採掘場跡(大谷資料館)
鉱石の特性でみると、この大谷石は、はゼオライト(沸石)に分類されます。スポンジ状になった無数の小さな穴を持つ多孔質構造が特徴で、ガスや水を吸着させる性質を持っていることから、脱臭性にも優れ、トルマリンのおよそ3倍のマイナスイオンを放出する特性も併せ持っています。大量のマイナスイオンはヒトの細胞の活性化や免疫強化、自律神経の調整、精神安定、空気の清浄化など有効作用があります。また、コンクリートやガラスに比べ高い吸音率があることから、音響効果の面でも優位性があります。軽くて加工しやすいだけでなく、人にやさしい様々な効能が多い大谷石は、何よりもその表情が独特で、人工物では表現できない、切断面の何とも言えない優しい風合いが魅力的。住宅建築において愛用される大きな理由にもなっています。
西本町の家での大谷石の設置風景はこんな感じです。
土間はモルタルで下地処理を行い、職人さんの手で一枚一枚丁寧に大谷石を敷設し、出入口やコーナーは、その形状に合わせて現場で裁断加工を行います。前述したように、やわらかくて加工がしやすいので、裁断後の端材も工夫次第では様々な箇所で有効活用ができます。
最後は目地をきれいにモルタルで処理を行います。
こうして完成した大谷石の玄関土間は、コンクリート土間やタイル素材の土間とは一線を画す独特の美しさ。木の家との相性は抜群過ぎるくらいの組み合わせ。そして、その音響効果や脱臭効果、空気浄化作用、精神安定作用をはじめとしたマイナスイオン効果など、この住まいに一歩足を踏み入れた人々の五感に様々なプラスの作用を与えます。まさに、“その場の空気を変える”素材。西本町の家の玄関土間空間で、ぜひその空気感を味わっていただければと思います。
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きれいな現場を求めて
May 11, 2018
こちらは、糸魚川市内で建設中の「上刈の家」の様子。上棟が終わり、いよいよサッシ取付、内部造作へと工程が進む以前の状態です。
キノイエは建築途中の現場においても清潔さ・きれいさを求めて、日々改善努力を続けています。今回は足元の床養生にご注目。
合板に足跡や残材のなどの汚れがつかないように養生シートを丁寧に張り付けてあります。
現場養生のクオリティも一歩先に。キノイエの見えない部分の品質に対するこだわりです。完成した住まいからは、その違いを見分けることはできません。
これからサッシ、内部造作、設備器具設置作業など、多種多様な職人さんたちが現場に出入りするようになりますが、その職人さんたちを気持ちよく迎え入れ、丁寧な仕事をしていただくためには、こうした受け入れ側の現場づくりも非常に重要になってきます。また、その清潔さを職人さんたちの手で維持していこうというムードづくりも、私たちの大事な仕事です。
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影があるからこそ光は美しい
May 9, 2018
昔からの日本建築には「陰影の美しさ」という設計思想があります。昔の人々は、その陰影を楽しむ工夫を建築技法の中に数多く取り入れてきました。
家の設計に関して、「暗い」という言葉だけを取り上げてしまうと、とてもマイナスなイメージだけが先行してしまいがちですが、実際は明るさが生きてくるのは影の存在がとても大きいのです。現在の住宅会社の広告には、どこも「明るく開放的」というキーワードが前面に出てきますが、単に明るいだけの空間をつくってしまうと、人はかえって落ち着かず、居心地の悪さを感じてしまうことがあります。
陰影は空間に奥行や表情を加えます。しかし、実は意外なことに、この「暗さ」を設計にうまく取り入れることを得意としている住宅会社はあまり多くないかもしれません。軒の出、天井の高さ、開口部の位置や切り方、障子などの緩衝物の取り込みなど、単純な平面計画からでは語りきれない、様々な設計不文律を駆使してこそ、こうした深みのある陰影が生まれるのです。
キノイエの設計では、この「陰影」をとても大事にしています。ソトの光を楽しむためにあえてナカに暗い部分をつくる。暗さがあるからこその落ち着きがある。すべてをソトに開くのではなく、あえて遮断する部分を設ける。こうしたメリハリがかえってソトに広がる景色の美しさに想像力が増し、光の役割も大きくクローズアップされます。
影があるからこそ光は美しい・・・ソトとナカをつなぐ設計という考え方の中には、この「陰影」の作法もしっかりと息づいています。
キノイエの見学会、モデルハウスでは、ぜひそうした設計の妙味も味わっていただけたらと思います。
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生活のにおい
May 7, 2018
モデルハウスや完成見学会の住まいをたくさん見て回られているお客様の目は肥えています。デザインもインテリアコーディネートもしっかりとつくり込まれている家はどれも素敵なものばかり・・・しかし、その中のいくつかの住宅を見て「なんか生活感がないよね」というセリフを口にされる方が、案外少なくないようです。いざ冷静に自分たちの暮らしに照らし合わせてみた時に、今この瞬間だけではなく、その先の人生を見つめ「少し現実的ではないかも?」と感じることで、それが実際の設計、ひいては住宅会社選びを難しくしている要因にもなっているようです。
その点、キノイエの住まいはどちらかというと派手さはなく、デザイン的なトンガリもそれほど多くはありません。その代わり、「あ、なんかしっくりくる」と感じられる様々なエッセンスがちりばめられています。それは、子どもの頃の思い出、食事を囲む時の家族との距離感、生活の中の「憩う」「語らう」「くつろぐ」「休む」など、「間取り」ではなく「場所」としての設計を大事にしているからです。
それは、「生活のにおい」とでもいうべきものでしょうか・・・こと、私たちが住むこの上越地域での暮らしを考え、背伸びはしないけれども、多くの人があこがれる現実的で丁寧な暮らし方、落ち着きのある暮らし方を私たちはなるべく設計デザインに盛り込むようにしています。
5/26(土)・27(日)の完成見学会が予定されている「西本町の家」(上越市)でも、そんなエッセンスを感じ取ることができるつくりになっています。どこで、どんな風にくつろぎ、どんな風に語らうかなど、ぜひ写真だけではなく、実際に目と手触りで空間を、そして「生活のにおい」を体感してみてください。
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再測定結果
April 27, 2018
以前のブログ「これだけ違う強風下のC値」でご紹介した建物の隙間相当面積(C値)の再測定が先日の21日に行われました。遅くなりましたが、その後の結果ということでお伝えいたします。
この日は風もなく、非常に安定した環境の中での測定になりました。
早速ですが、3回測定したデータをどうぞ。
1回目:測定成功
測定された総相当隙間相当面積:αA=41㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)41㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.46㎠/㎡
弊社の基準値C値=0.5㎠/㎡をクリア。下の段の「隙間特性値(n)」※1の値も n=1.46と安定。風による外部環境の影響が少なかったことが反映された数値になっています。
続きまして、2回目の測定。
2回目:測定成功
測定された総相当隙間相当面積:αA=35㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)35㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.40㎠/㎡
こちらも弊社基準値C値=0.5㎠/㎡をクリア。下の段の「隙間特性値(n)」※1の値も n=1.33と安定しています。
そして、3回目の測定。
3回目:こちらも測定成功
測定された総相当隙間相当面積:αA=40㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)40㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.45㎠/㎡
こちらも弊社基準値C値=0.5㎠/㎡をクリア。下の段の「隙間特性値(n)」※1の値も n=1.38。こちらも安定しています。
通常、C値の測定では、この3回の数値の中央値を採用することになります。すると、最終的なC値の測定結果は以下のようになります。
測定された総相当隙間相当面積3回の測定平均:αA=40㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)40㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.45㎠/㎡
無事に、弊社の厳しい隙間相当面積(C値)基準 C値=0.5㎠/㎡ をクリアすることができました。ちなみに、もう少し分かりやすい例えでこちらの住まいの隙間のサイズを表現すると、ちょうど名刺サイズよりも一回り小さい大きさしかないという結果になります。本当に隙間が小さいということがご理解できるかと思います。
これで安心して次工程へ進むことができます。このように、1棟1棟丁寧にC値を測定していくことで得られる技術的な経験値は、他社にはない大きなアドバンテージになります。
※1:「隙間特性値(n)」とは、隙間の状態を表し、通気特性式を対数で表した場合の直線の傾きを表し、一般にnの値は1~2の範囲をとり、それぞれの隙間が極めて狭い場合は1に近づき、広い場合は2に近づくというものです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、要するに、1~2の範囲内でなければ測定エラーになり、複数回の試験で数値が上下に大きくブレるということは、何らかの外部要因による異常値であると言えます。
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「西本町の家」完成見学会予告
April 19, 2018
現在上越市内で建設中の「西本町の家(仮)」の完成見学会の開催日程が決定しました。
開催予定日は、5月26日(土)・27日(日)の2日間。時間は各日共に10:00~16:00を予定しています。
現在、内部の造作工事が進行中。PM2.5を98%カットしたクリーンな外気を熱交換しながら室内に取り入れる第1種熱交換換気システムを標準採用しているキノイエは、夏冬エアコン1台で快適な全館空調を実現できるよう設計されています。
詳細につきましては、後日こちらのサイトのイベントページにてご案内させていただきたいと思いますので、今しばらくお待ちください。
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これだけ違う強風下のC値
April 17, 2018
先日、糸魚川市内におきまして、ご予約された方を対象に、前回同様、構造説明とC値(隙間相当面積)を測る気密測定試験が行われました。
当日は朝から一日強風続きのコンディション。実はこの気密測定における最大の天敵はこの「風」。弊社が行う気密測定は、一般的に「減圧法」と呼ばれる測定方法で、室内に設置された排気ファンで内部の空気を外に排出し、室内の気圧を低下させる過程で発生する抵抗値をセンサーで読み取ることで、建物に存在する隙間の量を計測するという方法で行われます。したがって、建物の外が強風の影響を受けると、排気が正確に行われず、数値が大きく変動してしまうという現象が起こります。
この日は、その恐れていた状況が起こってしまいました。
ですが、これもまた施工現場においてはよく起こり得る事態。今回は、あえてそのリアルな測定結果を皆様にお伝えしたいと思います。
1回目の測定・・・エラー
2回目の測定・・・エラー
強風の影響が大きく出てしまいました。
3回目の測定・・・測定成功(データシートはN0.0001となります)
測定された総相当隙間相当面積:αA=69㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)69㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.78㎠/㎡
弊社の基準としているC値=0.5㎠/㎡以下に届かず・・・しかし、その下の数値「隙間特性値(n)」※1の値にご注目。n=1.84という数値は測定限界上限値であるn=2に限りなく近い数値となっており、私たちが過去に施工した建物のデータの中では異常に高い値。強風による影響を受けたことを匂わせる値となっています。ですので、ここで算出された単独C値=0.78㎠/㎡は、データとしては少し疑ってみてもよい値と判断。(ちなみに、C値=0.78㎠/㎡という数値自体は、住宅業界が慣例的に「高気密」とうたってよい(であろう)C値=2.0㎠/㎡以下と比較しても申し分のない値ですが、弊社の基準が地域トップクラスの厳しい値であるため、あえてこういう書き方をしています。)
※1:「隙間特性値(n)」とは、隙間の状態を表し、通気特性式を対数で表した場合の直線の傾きを表し、一般にnの値は1~2の範囲をとり、それぞれの隙間が極めて狭い場合は1に近づき、広い場合は2に近づくというものです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、要するに、1~2の範囲内でなければ測定エラーになり、複数回の試験で数値が上下に大きくブレるということは、何らかの外部要因による異常値であると言えます。
気を取り直して、再度計測。
4回目の測定・・・測定成功(データシートNo.0002)
測定された総相当隙間面積:αA=26㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)26㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.30㎠/㎡
C値=0.5㎠/㎡以下のよい値がでました。それにしても3回目の測定値と大きな開きがあります。そこで、「隙間特性値(n)」の値に目をやると、今度はn=1.01という測定下限値ぎりぎりの低い値が表示されています。3回目と4回目のn値がこれほど大きくブレるということ自体、外部の強風による影響を受けたことを示しており、信憑性としては低い数値と見た方がよいでしょう。
そして、5回目の測定・・・測定成功(データシートNo.0003)
測定された総相当隙間面積:αA=41㎠
C値= 総相当隙間面積(αA)41㎠ ÷ 延床面積 88㎡ = 0.47㎠/㎡
C値=0.5㎠/㎡以下の値がでました。そしてここでも「隙間特性値(n)」の値に注目。3回目、4回目のやや中間より下の n=1.28という値。やはり変動しています。この時点で確定的なことは言えませんが、この全3回の測定結果をならして想定すると、おそらく、実際のC値は0.3~0.5㎠/㎡の間に収まっているのではないかと考えられます。
今回は、完全に正確なC値を特定するところまではいきませんでしたが、弊社の基準値であるC値=0.5㎠/㎡に対し、おおよそ合格ラインであることまでは掴めました。ですが、私たちはここで終わりにすることはありません。C値=0.5㎠/㎡以下の値が出なければ次工程に進まないという覚悟で、まずは、再度風のない日に仕切り直しで今回と同じ中間測定を行い、その測定結果をもとに、気密施工においてまだまだ不足の箇所がないかの徹底検査と、気密処理の補正作業を行い数値の改善を図ります。そして、完成後に再度気密試験を行い最終的なC値測定を行う予定となっています。
いかがでしょう?このように、C値の測定一つをとってみても、幾度に渡る試験を重ねて、はじめてその建物の性能値を語ることができます。同じ設計であっても一棟一棟施工状況が違えば数値にも大きな違いが出てきます。また、こうして一棟一棟丁寧に気密測定を重ねることで、施工の良し悪しをその場で判定することができ、細かい原因究明と対策が行われ、施工方法の改善など経験値の向上にもつながります。
地味な努力の一歩一歩の積み重ねこそが、本物のクオリティを追求できるという信念に基づいて、私たちは日々取り組んでいます。
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”魅せる”だけじゃない”裏地”
April 10, 2018
上越市内で建築中の「西本町の家(仮)」の途中経過です。
南面の1階軒下の部分は、キノイエのアイデンティティでもある「すのこ天井」を設置。地元の杉材をソトとナカにふんだんに使用し、ぬくもりと経年変化を楽しむ本物感が住むほどに愛着が深まるデザインを実現しています。
そして、もちろん、内部の2階天井も同様に「すのこ天井」にします。
まずは、屋根の外側からは最高レベルの断熱性能をもつフェノールフォーム断熱パネルが設置され、屋根から吸収される日射熱を高い次元でブロック。
次に、内側からは付加断熱として木質系繊維断熱材(ウッドファイバー)を敷き詰めることで、驚くほどの蓄熱効果と防音効果を発揮します。
下地処理が済んだら、その下にすのこ天井を設置します。
すのこ天井にすることのメリットは、杉材の四面全てが天然木の吸放湿性能を発揮することで、一年中快適な室内環境を保つことができることです。夏は太陽から降り注ぐ灼熱をブロックし、雨季の激しい雨や冬季のあられなどの屋根を叩く音を吸収し、室内の湿度を一定に保つ・・・2階を寝室にする方にとって最高の居心地とは何か?を考えたギミックが満載のすのこ天井は、単に“魅せる”だけではない、理にかなった機能をもつ贅沢な“裏地”なのです。
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共同開発~より高いコストパフォーマンスを求めて
March 29, 2018
キノイエの構造は、プレウォール工法と呼ばれるパネル工法を採用しています。
この工法については、ブログで度々取り上げていますが、あらためて整理すると、採用するメリットは以下の3点になります。
(1)繰り返しの地震にも耐える高い耐震性能
軸組と床・壁パネルを組み合わせ、耐力壁をバランスよく配置する「モノコック構造」が実現。「モノコック構造」は、ジャンボジェット機にも使われる一体構造のことで、どの方向から荷重がかかっても全体に分散し、 部分的なひずみやくるいが生じにくいのが特徴です。また、構造用合板が外面につく「大壁構造」ではなく、柱と柱の間に収まることで構造材の釘抜けによる強度劣化が起こらない「真壁構造」により、繰り返す余震にあっても耐震性能を維持する構造を実現しています。
(2)最高ランクの断熱素材による高い断熱性能
一般的な住宅に使用されている断熱材「グラスウール」にくらべて 約2倍の断熱効果で世界最高レベルの断熱性をもつ「フェノールフォーム」を採用し、家全体をすっぽりと包み込むように施工することで、より確かな高気密・高断熱を実現し、1年中、快適で省エネな家をかなえます。
(3)高温多湿な日本の気候風土に耐える高耐久性能
水を吸い込まず湿気に強いフェノールフォームは結露の心配が一切なく、長期にわたり品質特性を維持することが可能です。また、高精度の工場生産体制により生まれる商品であるため施工現場でのばらつきがないという点が大きな特徴になります。 長期に渡る安定した品質で、お客様の健康な暮らしに対する安全・安心を考えた末の選択です。
<内部結露のメカニズム>
【他素材】
壁(断熱材)の中が湿っている状態が続くと、柱や土台を腐らせる原因となり、建物の耐久性を損なってしまいます。
【プレウォール】
壁(断熱材)の中は常に乾燥。さらに気密性も高いので、湿気が入りこむすきを与えません。柱や土台が腐ることなく、健康な状態を保ちます。
なお、こちらの補足解説につきましては、過去のブログ記事(抜粋)も併せてご参照ください。
<関連ブログ記事>
さて、本日皆様にご紹介したかった話題はこちら。このプレウォール工法、実は現在の商品ラインナップに弊社の現場の知恵と工夫が反映されているのです。
<初期プレウォールパネルの商品バリエーション>
柱角105㎜用
柱角120㎜用
当初、プレウォールの標準仕様は、断熱材であるフェノールフォームの厚みが45㎜(柱角105㎜用)と66㎜(柱角120㎜用)がありました。2016年春、私たちはそこに、柱角105㎜の構造体に「より高断熱性能を実現するコストパフォーマンスのよいプレウォールをつくれないか」と、メーカーであるウッドリンク株式会社の開発担当者に打診。そこから弊社の技術スタッフとの共同開発がスタートしました。パネルの取付方法や金物の処理方法、配線スペースの確保など、施工現場に関わる諸課題を一つひとつクリアしながら試行錯誤を重ね、ついに2016年秋、弊社の新築現場で初めて採用(2017年春完成)されたのが、柱角105㎜に外側45㎜+内側20㎜のフェノールフォームをサンドイッチした新型のパネルになります。
<弊社との共同開発商品>
柱角120㎜に比べて壁厚が薄くなる柱角105㎜でも内側に20㎜のフェノールフォームを追加することで、120㎜角用の標準パネルに肉薄する断熱性能を実現したコストパフォーマンスの高い商品(弊社との共同開発)
これにより、これまで120㎜角の構造体でなければ実現できなかった66㎜相当の断熱レベルに肉薄するコストパフォーマンスの高いパネルを105㎜角の構造体で実現することが可能となったのです。「価格によりお客様の選択幅を広げ、コストパフォーマンスを維持しながらさらに性能の高い構造体を実現できるようにしたい」という私たちの強い思いがメーカー側との交渉を実現させました。ちなみに、この商品は現在、多くの住宅会社での採用が進んでいます。
これが元となり、その後、さらに高断熱性能を追求した柱角120㎜用の上位グレードとして外側66㎜+内側20㎜のオプションタイプが登場し、現在ウッドリンクではお客様のニーズとコストに合わせて4つのラインナップからパネルを選択できるようになっています。
<その後新たに投入されたオプション商品>
柱角120㎜用に内側20㎜の付加断熱を施したオプション商品
こうした建材メーカーとのタイアップが可能な背景には、設計に関する経験値と現場での高い施工実績に対する信頼があればこそ。
上越地域に見合った、より高品質で高耐久な家づくりを目指して、私たちの飽くなき探求・進化は続きます。
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