用の美
October 18, 2016
「用の美」という言葉があります。歴史を遡ること1926(大正15)年にはじまった「民芸運動」から生まれた言葉です。
日本各地の焼き物、染織、漆器、木竹工などの日用雑器、朝鮮王朝時代の美術工芸品、江戸時代の遊行僧・木喰(もくじき)の仏像など、それまでの美術史が正当に評価してこなかった、西洋的な意味でのファインアートでもなく高価な古美術品でもない、そんな無名の職人による誠実な手仕事による民衆的美術工芸を「民藝」と名づけ、世に紹介することに尽力した思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)氏の提唱により生まれた概念です。
左(上):柳宗悦/右(下):柳宗悦に影響を受けた陶芸家のバーナード・リーチ
作り手の魂(仏)が宿る・・・そんな例えが正しいかどうかはわかりませんが、職人たちが本当に使いやすいものを求めて無心に努力を重ねた結果、そのかたちには美しさが宿るという考え方です。
一見すると、まるで普通のデザイン。他にも似たような道具があり、さらに巷には次々と最新の機能やデザインを有した新製品が生み出されているにも関わらず、何年も捨てられずに大切に使われ続けている道具や家具などがあります。そうしたモノには、おそらく、作り手の思いの深さの違いが存在しています。その職人たちがあらゆる使用場面を想像しながら、一手一手丁寧につくり込む過程で、その業界の常識やシステムに惑わされない、本当に必要なモノ・コトだけに意識を集中した手仕事が加わっていきます。そのことをまさに「用の美」が備わっていると言うのでしょう。
私たちキノイエの求める住まいづくりも「用の美」でありたいと考えています。
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小さな門番
October 15, 2016
「塩屋新田の家」の玄関アプローチの真ん中に鎮座するハコ型のオブジェ、実は玄関土間と同じ大谷石を組み上げて製作したものです。
オブジェといっても、実は仮置きの存在。この場所には本来、将来的に自立型のインターフォンや外付けのポストなどを設置しようと考え、配線が引き込まれているスペースなのです。モデルハウスとしての展示期間、何もないと少し寂しいね・・・ということになり、大谷石の端材を利用して仮組をし、配線部分を隠しているのです。
ところが、これが思いの外、存在感があってスタッフみんなにも好評。家の前で遊ぶ子供たちを見守る、来客をお見送りする際に玄関先でちょっと立ち話がはずむ・・・そんな時に、ここはうってつけの「ちょこっとベンチ」として活躍します。
ちなみに、大谷石は、加工性に優れ、温かみのある優しい自然の風合いを持ち、和洋を問わず空間を演出する品ある自然素材。大正時代に建造され、建築家フランク・ロイド・ライトの傑作とい われた旧帝国ホテルに大胆に使用されたことでも有名な素材。音響効果もよく、脱臭性にも優れ、トルマリンのおよそ3倍のマイナスイオンを放出する特性も持っています。ただし、大谷石は柔かい多孔質石材。密度が低く、汲水率は高いため、風化しやすいという性質をもつため、とてもデリケート。風化も味と考えればそれもありです。ただ、外で使うのがちょっともったいないと思うくらい、贅沢な石。この家にとって、まさに門番と呼ぶにふさわしい存在です。
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「耐震等級」だけでは見えてこない真実(続き)
October 13, 2016
昨日のブログからの続きです。
昨日は、「家づくりで考えなければいけないことは、「連続した地震に耐えうる丈夫でしなやかな構造体」を選択する」ということについて触れ、キノイエでは「真壁構造」をもつ「プレウォール工法」という工法を採用しているお話をさせていただきました。
その中で、メーカー側が提供している「三次元実大振動実験」と呼ばれる連続地震を想定した振動実験結果の映像をご覧いただきましたが、その実験で使用された建物の実際の各接合部位の状態を撮影した写真がありますので、実験の概要と合わせ、こちらで一部ご紹介します。
試験体の仕様は以下の通りです。
7.28m×7.28m 総2階建
建物重量:積雪1.0mを想定した建物
小屋:10.12t、2階床:7.92tの鉄板おもり
許容応力度計算より質点重量を算出
仕上げ :構造体のみ
耐震性能:耐震等級2
加振スケジュールは以下の通りです。
加振回数 | 地震波 |
1回目 | JMA神戸海洋気象台地震波100% |
2回目 | JMA神戸海洋気象台地震波100% |
3回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
4回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
5回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
6回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
7回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
8回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
9回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
10回目 | JMA神戸海洋気象台地震波50% |
※JMA神戸波は以下を想定
100% 震度7相当(X方向818gal・Y方向617gal・Z方向332gal)
50% 震度6弱(X方向409gal・Y方向309gal・Z方向166gal)
実験結果は以下のようになりました。
<1階 損傷状況(釘の引抜け)>
<1階 損傷状況(釘の引抜け、折れ)>
<1階 損傷状況(釘の引抜けなし)>
<1階 損傷状況(合板 せん断変形)>
<1階 損傷状況(パネル枠材 割れ)>
<土台 損傷状況(割れ)>
<土台 損傷状況(ほぞ飛び出し)>
<土台 損傷状況(めり込み)>
<桁 損傷状況(鎌継ぎ 割れ)>
<2階 損傷状況(釘の引抜き)>
<2階 損傷状況(釘の引抜きなし)>
<2階 損傷状況(柱 割れ)>
<気密テープ 損傷状況(剥がれ、ちぎれ)>
<結論>
・建築基準法で定められている安全限界1/30rad(90mm※)を「1階9通り」で瞬間的に超える結果でしたが、倒壊には至っていません。
・震災建築物の被災度区分判定基準では、残留変形が1/200rad(13.5mm※)以下であれば構造体は健全であると判断します。
・一般的な木造住宅では、最大変形量の半分は残留変形として残ると言われていますが、プレウォール工法は最大変形量の1/15以下に納まっています。これは、筋違などのような脆性破壊が少なく粘りのある構造であったと言えます。
・構造体として健全ではあるが、釘の引抜けなど損傷も発生しています。震度6弱程度の地震であればそのままでも倒壊に至らないと想定できますが新築時耐震性能を戻すために、釘の増し打ちが必要と思われます。
※今回の試験における変位換算値
いかがでしょうか。「連続地震に強い家」というしっかりとした根拠を見ていただくことで、皆様にもご安心いただけるのではないかと思います。
キノイエは、イメージだけの家づくりは行いません。ソトとナカをつなぐ独自のデザインと引き算する設計に加え、エコで健康、そしていざという時の地震に対する技術的裏付けをもって、本物の安心安全な住まいを提供することを信条としています。
10月29日(土)・30日(日)の2日間、「窓・構造・断熱パネル・換気の一流専門メーカー担当者が直接教える! 高性能エコハウスのしくみ大公開」と題した、ちょっとした勉強会を開催します。今回ご紹介した「プレウォール工法」のパネルを製造しているウッドリンク株式会社の担当者より直接説明をいただける機会を設けてありますので、この機会にぜひキノイエ上越モデルハウス「塩屋新田の家」に足を運んでみてください。
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「耐震等級」だけでは見えてこない真実
October 12, 2016
今年4月14日夜に発生した熊本地震から間もなく丸半年が過ぎようとしています。震度7の揺れが連続した熊本地震で多数の住宅が倒壊したことは、皆さんの記憶に新しいところです。あらためて、住宅の耐震性能の重要性についてユーザーの関心が高まっており、住宅購入を検討する際、住宅の「耐震等級」を気にされる方が増えてきているのも事実です。しかし、本当に地震に強い家を考えるなら、その基準だけで判断するのはちょっと早計です。
本日のブログでは、この「耐震等級」だけでは見えてこない重要な要素について、なるべくわかりやすく解説してみたいと思います。
その前に、まずは住宅の地震に対する強さの基準である「耐震等級」について、ここであらためて整理してみましょう。
「耐震等級」は、平成12年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で、建築主・購入者が、建物の耐震性の目安にするためのものとして定められました。
「等級 1」が、建築基準法で求めている耐震性と同等の強度。
「等級 2」が、建築基準法で求めている耐震性の1.25倍の強度。
「等級 3」が、建築基準法で求めている耐震性の1.5倍の強度。
「建築基準法で求めている耐震性」とは、「数百年に一度発生する地震(東京では震度7程度)の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度6程度)の地震力に対して損傷しない程度。」とされています。 当然、耐震等級が高ければ高いほど、震度6を超える地震に対して倒壊もしくは損傷のリスクが軽減されます。
ところが、今回、連続して余震の発生した熊本地震では、多くの家屋が2回目以降の大きな揺れ、もしくは複数回に渡る連続した余震によって倒壊、損壊しました。今年4月14日夜、熊本県益城町で震度7の揺れを観測した地震で避難した人たちが自宅に戻った後、2日後の16日に発生したマグニチュード7.3の大地震で自宅が倒壊し、死亡するというニュースをご存知の方も多いと思います。
<熊本地震発生直後からの地震回数(震度1以上)>
2016年4月14日(木)~29日(金)午前10時までの熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分県西部、中部の震度1以上の地震回数(日本気象協会データより)
実は、建物の強度を定めたこの建築基準法は、2回の大地震を想定しておらず、連続した地震によって耐震補強のための筋交いが外れたり、その固定部分が壊れたりして耐震補強の役目を果たさなくなる等の理由により、構造性能が低下すると言われています。
つまり、連続地震の発生に耐えられる家を考えるのであれば、「耐震等級」だけでは片手落ちになるということです。ちなみに、気象庁は昨日(11日)、熊本地震の地震回数(震度1以上)を精査した結果、10月10日現在で2137回としていた回数が、約2倍の4081回だったと発表しました。これだけの回数の揺れに対して、住宅の耐震性能を一時的な強度の目安である「耐震等級」だけで判断するというのは、とても危険なことであるということがお分かりいただけると思います。
そこで、家づくりで考えなければいけないことは、「連続した地震に耐えうる丈夫でしなやかな構造体」を選択するということです。
キノイエでは、その一つの答えとして、本震だけでなく、繰り返す余震にも備えるため、「真壁構造」を用いた「プレウォール工法」という工法を採用しています。「真壁構造」とは、地震の揺れが構造体に伝わる際、柱と柱の間にある壁が突っ張ってしっかりと耐える構造になっています。これに対し、柱に壁材をくぎで打ち付けるだけの「大壁構造」は、大きな揺れに対して打ち付けたくぎと共に壁材が外れることにより、それ以降の地震に対しては、ねじれを支えることができない状態になります。
プレウォールパネル
<柱と構造壁を上から見た比較>
イラストのように、柱と柱の間にある構造壁が外れにくい「真壁構造」は、「大壁構造」に比べ柔軟性があり、繰り返しの揺れにも強いので、余震があっても安心な構造になっているのです。
ここに、プレウォールパネルを採用した住宅の三次元実大振動実験を行った際の映像があります。少し広告っぽい印象が強いかもしれませんが、とてもわかりやすい映像ですので、参考になると思います。(メーカー提供映像)
さて、昨日のブログでもお知らせいたしましたが、10月29日(土)・30日(日)の2日間、「窓・構造・断熱パネル・換気の一流専門メーカー担当者が直接教える! 高性能エコハウスのしくみ大公開」と題した、ちょっとした勉強会を開催します。今回ご紹介した「プレウォール工法」のパネルを製造しているウッドリンク株式会社の担当者より直接説明をいただける機会を設けてありますので、この機会にぜひキノイエ上越モデルハウス「塩屋新田の家」に足を運んでみてください。
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高性能エコハウスを建てよう
October 11, 2016
イベント告知ページ、新着情報ページでもお知らせいたしましたが、10月29日(土)・30日(日)の2日間、少し趣向を変えたイベントを開催いたします。
題して、「窓・構造・断熱パネル・換気の一流専門メーカー担当者が直接教える! 高性能エコハウスのしくみ大公開」。
結露せず、足元まで暖かく、年間冷暖房光熱費が極力かからない、高性能なエコハウスに住みたい・・・これは、誰もが願うことです。しかし、巷にはたくさんの情報が溢れており、本当に高性能なエコハウスをどうやって選べばいいのか迷われている方は非常に多いのではないでしょうか?
そこで、住まいの高性能化に欠かせない窓・構造材・断熱パネル・換気システムに関して、実際に多くのハウスメーカーや工務店の住宅づくりに関わってきた専門メーカーのスペシャリストたちを招いて、高性能エコハウスの仕組みや性能の違い、会社選びのヒントを直接聞くことができる企画をご用意しました。「住宅づくりの真実を専門メーカーの立場から話していただきたい」という私たちの企画主旨に、今回3社の一流専門メーカーの皆様が応えてくれました。
住宅のつくり手からはどうしても一方的に「自社のつくる住まいが一番!」と自画自賛気味になってしまいがち(笑)ですが、彼らは違います。数多くの住宅会社の住宅新築に関わり、そこで実績を認められ、支持されてきた商品があります。そこには、性能を担保するために絶対に譲れない、その分野に関する家づくりの不文律を持っています。住宅の性能に直接影響する部分を担う専門メーカーだけが語れる、家づくりの真実をぜひ皆様にも聞いていただきたいと思います。
YKK AP株式会社様は、皆様もよくご存じの日本を代表する高性能窓メーカー。元々はアルミサッシで成長したサッシメーカーでしたが、近年、日本の住宅の断熱気密性能のレベルアップのために、相次いで高性能な樹脂窓を開発し、世に送り出しています。
ウッドリンク株式会社様は、お隣富山県の会社。社名にもあるように長年「木」を専門に扱ってきた会社だけに、精度の高いプレカット構造材の生産はもとより、独自の研究施設を持ち、住宅の高気密高断熱化に貢献すべく高耐久で結露フリーの構造・断熱パネルを開発し、成長しているメーカーです。
株式会社マーベックス様は、換気システムの専門メーカー。社名の由来には、“エコロジカルなシステムによってより快適で健康な建物を作る” という意味が込められています。メーカー側の論理ではなく、お施主様側の論理からオリジナルの商品開発を行い続けている優れた会社です。
様々な住宅会社を見てきた彼らが感じている家づくりの現場の今と、本当に失敗しない住宅会社選びのためには、どのような点に注意すればよいのか?など、ここでしか聞けない価値のある情報がたくさん詰まったイベントになると思います。
住まいの性能は大工の腕だけで決まるものではありません。木造の心臓部となる大工技術はもちろん重要ですが、住宅の断熱・気密・換気など、居住環境とエネルギー消費量に直接影響を与える基本的な性能は、あらゆる産業の技術によって支えられており、家づくりにおいては木造技術同等、あるいはそれ以上に重要なファクターです。今回のような、窓・構造材・断熱材・換気システムの専門メーカーが一堂に会する機会はめったにありません。ぜひ、この機会に上越モデルハウス「塩屋新田の家」に足をお運びください。
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暮らしの勉強会
October 9, 2016
キノイエでは、定期的に「暮らしの勉強会」を開催しています。
毎月1~2回程度開催し、「得する住宅ローンの選び方」、「エコで健康な家づくり」、「木の家づくりコンセプト」、「暮らし方から考える土地相談会」という4つのテーマの中からお客様の知りたいテーマ選んでご予約いただくというスタイルをとっています。
今月はこの土日2日間に渡り開催。おかげさまで今回も各テーマに様々なお客様からご予約いただきました。中には、「全ての勉強会に参加したい」ということで、2日間に渡って会場に足を運んでいただいたお客様もいらっしゃいました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
各勉強会のテーマは、スタッフがこれまでの経験と最新の住宅事情を元に作成されたプレゼンテーションを中心に、家づくりの前にお客様に本当に知っておいていただきたい重要なポイントをわかりやすく解説します。参加いただいたお客様はこまめにメモをとったり、気になる部分について質問されたりと、皆さんとても真剣。普通の完成見学会や展示場では聴けなかった話がどんどん飛び交います。家づくりで最も大切なことは、作り手とこうした真剣なキャッチボールを何度も繰り返すことで、お客様自身が自分たちが建てようとする家の全てに確信をもつことではないかと思います。
ちなみに、各勉強会のポイントについてほんの少しだけご紹介すると、こんな感じです。
「得する住宅ローンの選び方」
✓元銀行マンが行員時代にはお伝えできなかったことを家づくりを応援する立場からホンネで解説
✓住宅ローンの選び方で、一生涯に支払う金額が数百万円も変わる!?
✓金利の種類は大きく分けて3種類、その長所短所をよく理解して金利を選ぶことがとても重要
✓住宅ローンは借りた後のことも考えて選ぶことが大事。借りた後のポイントについても丁寧に解説します
✓e.t.c.
「エコで健康な家づくり」
✓日本の住宅は環境先進国に比べて何十年も遅れていることをご存知でしたか?
✓どこの住宅会社も唱えている「高気密高断熱」には、考え方やレベルに大きな差
✓快適で省エネな家は注文しても簡単には手に入らない
✓健康を害する家、健康を維持できる家、その違い
✓「見えないコスト」を知る 建てる家の生涯価格を知る
✓e.t.c.
「木の家づくりコンセプト」
✓なぜ自然素材はいいの?
✓日本人の暮らし方と住まいが果たしてきた役割 そしてこれからの家
✓木の家の本当の価値
✓本物を知ると、家づくりが変わる
✓小さくつくって大きく暮らす「引き算」の設計
✓e.t.c.
「暮らし方から考える土地相談会」
✓家づくりを本業とする会社だからこそ話せる土地選びの真実。
✓分譲地の中にある4種類の土地、あなたはどこを選びますか?
✓土地は平面だけではなく立体で考える。土地選びに必要な「目」を養いましょう。
✓スーパーで牛乳を買う/不動産屋さんを通じて土地を買う・・・2つの話から学ぶべきこと。
✓e.t.c.
スタッフも常に勉強。そして勉強会を重ねていく中で、お客様からいただいたご意見やご質問を元に、その都度、勉強会の中身をより聴きやすくわかりやすいものへと進化させていきます。家づくりをお考えの皆様に、「参加しておいて本当によかった!」と思っていただけるような、価値のあるユーザーメリットをご提供できる、オンリーワンの勉強会をお届けしていきたいと思います。
暮らしの勉強会について、ご興味のある方はぜひ私たちまでお声がけください。
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技術で「閉じる」、デザインで「開く」
October 8, 2016
住まいを高気密・高断熱化することで得られるメリットが、単に「冬暖かく」「夏涼しい」ということだけでは、建築屋としてはとても中身の薄い話です。大切なのは、「暮らし方」に与える変化とメリットでしょう。
例えば、以前のブログ記事「玄関ホールを使い倒す」。この記事では、玄関ホールをリビングの空間として取り込み、小さくつくって大きく暮らす一つの工夫としてご紹介させていただきましたが、それを実現しているのは、高い断熱気密性能、つまり、きちんと「閉じる」技術が確立されているからです。
ところが、一方で、高性能な断熱材の吟味に力を入れながらも、内部に寒さを残すような設計を当たり前に行っている家づくりもまだまだ多く存在します。その典型が玄関。玄関が冷える設計のままだと、ホールと廊下も寒くなり、何重ものドアで仕切りをし、風除室まで設けて寒さに備えるような設計になっている住宅をよく見かけます。中途半端な断熱材知識のまま設計を行うと、必然的に、玄関ホールは寒い場所だと常識的に考えて、家の中にあってもさらに閉じてしまう場所が生まれてしまうのです。
これがもし、明確な根拠をもって家のナカとソトをしっかりと断熱できれば、内部は徹底して開放的な空間にデザインすることが可能となり、暮らし方にも様々な可能性が生まれてきます。玄関やホールが居間の一部になるだけでなく、床下や屋根裏も変化に富んだ内部空間になります。
正しい技術で「閉じ」、デザインで「開く」という設計思想をもつことで、住まいはよりコンパクトでも広々と暮らせる高性能なものへと進化させることが可能です。「小さくつくって大きく暮らす」をロジカルに実現する。これが「小さな邸宅~キノイエ」のポリシーです。
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丸テーブルがつくるやわらかい日常
October 1, 2016
丸テーブルには、四角いテーブルにはない良さがあります。
ひとつはスペースの取りやすさと動線が非常にスムーズになり、周囲を動き回れるようになる利点。長方形のテーブルだとどちらか端を壁に寄せたり、角が邪魔になって通り抜けしづらい間取りになる場合が多いのですが、その点、丸テーブルは小さなスペースにあってもしっかりと余白を活用できます。サイズも非常にコンパクトで済みます。4人家族であれば、テーブルの直径は最低110cmほどから、6人家族でも最低120cmほどあれば十分です。
そして、もう一つの良さは、「みんなが顔を合わせることができる」点です。長方形のテーブルとは違い、全員が同じ距離で向かい合い会話ができるので上座も下座もなくなり、自然と関係もやわらかくなります。
毎日忙しい生活を送っている私たち。家族それぞれに時間に追われ、ゆっくりと家族全員で向き合える時間はとても貴重です。せめて食事の時間だけは全員が向かい合わせで会話を楽しむ・・・そんなお手伝いができるのが、この丸テーブルなんです。
家具選びも重要な住まいの設計の要素です。家具一つで、暮らしのやわらかさが変わります。
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大事なことは目に見えない
September 29, 2016
以前から注目していた書籍がいよいよ発刊され、弊社の手元にも届きました。
その名も『あたらしい家づくりの教科書』(新建新聞社)。アマゾンの書籍紹介欄には、こう記されています。
365日×数十年過ごす生活の舞台としてふさわしい家とは何か?
この本は、はじめて家を建てる人を対象に「良い家づくり(高性能なエコハウス)の意義(メリット)」を伝える指南書。健康、光熱費、デザイン、暮らし方、地域経済や地球の裏側の話まで、目に見えない部分を、わかりやすいイラストや写真、説得力のある言葉で表現している必見の1冊です。家づくりをお考えの方は、ぜひ一読されることをお勧めします。キノイエが目指す考え方が凝縮された一冊です。
ちなみに、9人のエキスパートの顔ぶれは、業界の中では知る人ぞ知る錚々たるメンバーです。
今泉太爾(日本エネルギーパス協会)/伊礼智(伊礼智設計室 代表)/岩前篤(近畿大学 建築学部長)/竹内昌義(東北芸術工科大学 教授/みかんぐみ共同主宰)/前真之(東京大学 准教授)/松尾和也(松尾設計室 代表取締役/パッシブハウス・ジャパン理事)/水上修一(YKKAP 執行役員 商品企画部長)/森みわ(キーアーキテクツ 代表/パッシブハウス・ジャパン代表理事)/三浦祐成(新建新聞社 代表取締役社長)
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窓を開ける?開けない?その前に
September 23, 2016
天気のいい日は窓を開けて自然の空気と景色を思いっきり住まいの中に取り入れる。晴天の少ない上越地域では、こうした貴重な日を大切にしたいですね。
しかし、窓を開けてはいけない日もあるのです。
下は、日本気象協会がウェブサイト「Tenki.jp」の中で日々公開しているPM2.5の分布予測です。48時間後までの分布予測を見ることができます。
画像は、9月23日9時時点の分布です。日本海上空の気圧と西日本上空の前線の影響か、PM2.5の大半は中国大陸に滞留したままの状態がよくわかります。
そして、この動きは、その日の上空の気流や気圧、前線の動きによって全く変わってきます。
今年の1月4日の当時の予測分布。上越エリアもうっすらと覆われていますね。
これが4月16日の分布予測になるとこうなります。西日本が特にひどい状況に。
ちなみに、昨年の3月27日の予測分布はこんな感じ。上越地域のPM2.5量もかなり増えています。上越地域も安全とはいえないのです。
既にご存知の方も多いと思いますが、PM2.5は粒子の直径が2.5マイクロメートル以下の微小粒子。ぜん息の原因となるハウスダストの直径がおおよそ10マイクロメートル、花粉症の原因のひとつであるスギ花粉は直径20マイクロメートル以上あるので、それとの比較で考えても、いかにPM2.5が微細な粒子であるかがお分かりいただけると思います。粒子の直径が小さいほど肺の奥まで届くので、健康への影響も大きいと考えられています。
こうなると、PM2.5の分布量が多い日は、当然窓を閉め切っておくことが無難・・・となるわけですが、ここで問題となるのは家の隙間と換気の設備。先ほどご説明したように、PM2.5の粒子の細かさですと、従来の一般的な施工の住宅であれば、すき間が大きいため、窓を閉め切っていても、あらゆる侵入経路を通じてPM2.5が入り込んできます。また、PM2.5は花粉などの粒子とくらべて非常に小さく軽いため、空気中を長時間漂っています。汚染物質が家の中に長期滞留することになります。また、現在の住宅は全館換気が義務付けられていますが、この換気のフィルター自体の性能にも大きな違いがあり、PM2.5をしっかりとシャットアウトするフィルターを備えてある機器を選ばない限り、窓をどれだけ閉め切っていても、換気口を通じて汚染物質がどんどん侵入してくる結果となってしまいます。
以前のブログ(「すき間だらけの日本の住宅」/「住まいの呼吸法」)でもご紹介したように、キノイエは、すき間のない家が標準。次世代省エネ基準では全く義務付けられていない隙間相当面積(C値)を全棟実計測し、標準値を0.2~0.4㎠/㎡(40坪の住まいであれば、名刺7割程度のすき間)としています。ちなみに、日本の既設住宅の90%以上がC値=5㎠/㎡以上で、多くは未測定のため実態は不明です。また、換気システムについても、キノイエでは、電石加工されたフィルターでPM2.5を98%キャッチして室内にきれいな空気だけを取り込む仕組みを標準装備しています。ここは会社によって大きな違いになる部分です。
自然素材を使うことばかりでは、本物の「健康住宅」にはなりません。自然素材の良さを生かす考え方を大切にしつつも、そのベースには、本当の健康な暮らしを考え、科学的な根拠をしっかりと設計に反映することが絶対条件になると考えています。
健康な暮らしにとって最も重要なデバイスである住まい。こうした仕組みと対策さえ分かれば、その性能を無駄なく発揮できるようなコントロールが可能になります。
そして、分布予測をチェックしながら、閉じる時は家をしっかりと閉じ、「ここ一番空気がきれい!」という日にこそ、思いっきり開いてソトの開放感をナカに取り込みましょう。
さて、いよいよ明日より2日間、秋の暮らし方見学会‟おうちキャンプ”が始まります。ソトとナカをつなぐキノイエの住まいだからこそ楽しめる暮らし方をぜひご覧ください。詳しくは、こちらのイベントページをご覧ください。
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