建具の美しさを追求する
July 9, 2016
この障子の写真を見て、ピンと来た方はかなりの建築通です。
この障子は、「吉村障子」といいます。吉村障子とは、建築家の吉村順三※氏が、框と組子の見付寸法を18ミリで統一し見込を30ミリとした障子デザイン・・・要するに全ての枠の寸法が同じになっていることが特徴。普通の障子の場合、強度や作業性を考えて大抵が外側の枠が太くなっていますが、吉村障子は外枠も中枠も同じ寸法でつくられており、これにより、閉めた時、まるで一枚の障子に見えるようにデザインされています。やわらかな光、美しいシルエット・・・ミニマリズムを追求した日本の建具は、けして和風建築のだけのアイテムではなく、様々な様式の建築スタイルにも合うということが分かる実例です。
ただし、この建具製作にはかなりの技量が要求されますので、製作できる職人は非常に限られています。キノイエには、これを非常に高い精度でカタチにできる、とても腕の良い職人さんたちが仲間にいます。弊社とは非常に長い付き合いになります。キノイエの小さな邸宅は、まさに、こうした職人たちの手仕事が随所に息づいている上質な木の家なのです。
※吉村順三(1908~1997)
日本の建築家。皇居新宮殿の建設に関わった日本の建築界の巨匠。東京都生まれ。東京芸大教授。フランク・ロイド・ライトに学び帝国ホテル建設の際に来日したことで有名なアントニン・レーモンドに師事し、彼に日本建築を伝えた人物。戦後日本のモダニズムを代表する建築家として、海外で高い評価を受ける。代表作に国際文化会館、ニューヨーク近代美術館日本館などがあります。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
無垢の床~表面処理の違い
July 8, 2016
前回は、天然無垢の床材の樹種による性質の違いについてお話しさせていただきました。
今回は、その無垢の床材の表面処理に関するお話をしてみたいと思います。
無垢フローリングを表面処理するのは、表面の保護と木目に美しい表情を持たせることなどが主な目的で、表面処理剤には、現在多数の選択肢があります。
まず、これまでいちばん一般的とされていたのが、アクリル系の「樹脂ワックス」です。樹脂ワックスは塗るだけで透明で光沢のある硬い塗膜(フィルム)をつくります。乾燥時間、硬化時間が早いので、これまで広く一般的に使用されてきました。ただし、アクリル系樹脂ワックスには光沢仕上げしかなく、塗り重ねることで床材表面の光沢が増しますが、その分、天然木本来の暖かみのある風合いが損なわれるというデメリットもありました。
その後、「ウレタン塗料」が広く用いられるようになりました。ウレタン塗料は、樹脂ワックスと比較して6~10倍強の厚みの塗膜を形成し、床をしっかりと保護してくれるのが特徴です。また、表面の風合いも光沢、半光沢、つや消し仕上げなど、目的に応じてテイストを選べるのが特徴です。なお、ウレタン塗装には油性と水性があります。
そして近年、シックハウス症候群、化学物質過敏症など、室内環境の意識の高まりから「自然塗料」系と呼ばれる選択肢が広く出回るようになってきました。自然塗料とは、通常鉱物系の顔料と植物油から構成されるものを指します。樹脂(油脂)の成分の種類の違いから塗膜となって木材を保護する方法が異なります。あまに油やひまわり油等、植物の種子などから採取される天然油脂を主成分とした「オイル系」と呼ばれる浸透型の塗料、セラックやダンマル等、樹木や昆虫等の天然樹脂を主成分とし、木材の調湿機能を残しながらも塗膜を造り素材を保護するため耐水性に強い「ワニス系」と呼ばれる造膜型の塗料、蜜ロウやカルバナロウ等のロウ類を主成分とし、多くはオイルやワニス塗装後の塗膜の補助膜として使用される「ワックス系」の塗膜保護剤などがあります。
「オイルは自然塗料なので環境に優しい」という風潮もありますが、オイルには多くの有機系の溶剤が含まれる場合があります。また、頻繁にメンテナンスが必要で、そのメンテナンス時に使用するフロアオイルの大半が溶剤であるため、必ずしも自然塗料のすべてが環境に優しいとは言い切れません。
キノイエに使われている無垢の杉フローリングには、オイル系の自然塗料の中でも、100%天然成分で構成される「キヌカ」という塗料を使用しています。主成分は私たちの主食のお米(ぬか)が原料なので、「赤ちゃんが舐めても大丈夫」というのがキャッチフレーズになっています。キヌカは、浸透性の塗料です。表面に塗膜を作らないので木の呼吸を失わず、木の香り、質感と共に調湿作用を維持します。また、溶剤を使用していないので、塗装直後でも室内に臭いが残らないので、換気も不要というのが特徴です。
木目が際立ち、木になじみやすくしっとりと仕上がる100%天然塗料。無垢材の特徴を失わず裸足で暮らす日本人の生活に最適な素材をキノイエでは厳選して使用しています。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
無垢の床 違いと性質
July 7, 2016
天然無垢の床。足触り、風合い、天然木の香りなど・・・やはり理屈抜きにいいものはいいですね。
本日はこの無垢の床にも様々な性質と効果の違いがあるというお話をしてみたいと思います。
まず、樹種の違いがあります。天然木は大きく分類すると、広葉樹と針葉樹に分かれます。広葉樹は、葉が広く平たいサクラやケヤキ、ブナなどがよく知られています。針葉樹は、葉が針のように細長いスギやマツ、ヒノキなどが日本では広く有名でしょう。
<広葉樹>
<針葉樹>
では、それぞれを床材として考えた場合、何が大きく違うのでしょう?針葉樹と広葉樹は、その外見の違いだけでなく、細胞と組織の成り立ちが大きく異なっています。
針葉樹のことを英語では「ソフトウッド」(softwood)、広葉樹のことを「ハードウッド」(hardwood)といいます。つまり、針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬いという性質があります。これは木の組織の密度と、その隙間に含まれる空気の量に関係しています。大半の広葉樹は組織の密度が高く、空気を含む隙間が少ないため、木は重くなります。一方、針葉樹は組織の密度が低く、空気を含む隙間の量が多いため、比重も小さく、木は軽くなります。そのため、一般的に広葉樹に比べ、針葉樹の方が柔らかくなります。
<硬い無垢の樺桜(広葉樹)フローリング>
以上のことから、複合施設内の店舗や体育館の床など不特定多数の人々が頻繁に土足で往来する場所に無垢の床材を使う場合は、オークやナラ、カリンなどの硬い広葉樹が適しているといえます。しかし、その硬さゆえに足腰への衝撃が大きくなります。一方、針葉樹は柔軟性があるため、足腰への負担を軽減する効果が得られます。加えて、針葉樹は空気を多く含んでいる性質から熱伝導率が低く、広葉樹の床に比べて足の裏へのあたりが優しく、あたたかみを感じられます。もちろん、それぞれの樹種にしかない独特の木目の美しさがありますので、一概に断定できませんが、仮に家の中でなるべく素足で快適に過ごしたいと考えた場合は、針葉樹を選択されることをお勧めします。キノイエでは、やわらかくて温かみがあり、この上越地域でいちばん馴染みの深い針葉樹の杉材を多く使用しています。
<やわらかい無垢の杉(針葉樹)フローリング(上:有節/下:無節)>
反面、やわらかいということは、弱点もあります。特に、キズがつきやすいという点では圧倒的に不利です。しかし、当たり前なことですが、どのような床板を選んだとしてもキズが全くつかないということはあり得ません。例えば、表面がシート貼りされ、ウレタンや樹脂でコーティングされた合成床材。この合板に引っかきキズや物の落下によるキズやヘコミができた状態をイメージしてみてください。キズが深ければ表面のシートが剥げ、下地があらわになります。その姿はけして美しいものではありません。キズが増えれば増えるほど価値はみるみる下がっていきます。一方、無垢床板のキズは、見方を変えると、家族の歴史として刻まれ、それはまるで長年愛用した本革の財布のように、使えば使うほどに深い味わいになっていきます。無垢材は、表面を削り、磨けばまた元の美しい木目が蘇ってきますが、合成建材はそうはいきません。「本物」のもつ質感には何物にも代えられない美しさがあります。キズ一つが付いた時、素材によってストレスの感じ方が明らかに違うというのがご理解いただけると思います。
キズを含めた経年変化を「味わい」として楽しめ、かつ健康特性をもつ自然素材の無垢材をお勧めしたい・・・そんなことを考えながら、私たちは素材を厳選しています。
・・・本日はここまでです。
この無垢の床のお話はこの後も続きます。次回は、床の表面処理についてお話ししたいと思います。そちらもどうぞお楽しみに。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
欲しくなるアイテム~「箱パントリー」
July 6, 2016
キノイエのダイニングスペースにひときわ存在感を放つ収納ボックス、通称:「箱パントリー」。「小さな邸宅」の魅力を引き立てる強力なアイテムの一つです。
建築家の趙海光(ちょう うみひこ)氏による設計で、キノイエのコンセプトから生まれたオリジナルアイテムです。
サイズはいたってコンパクト。シンプルがゆえにとても美しいデザイン。その中に食器棚、配膳台、そして床下エアコンの収納スペースまで兼ねている優れものです。
光を通すことで空間に広がりを与える障子、開けると配膳台としてキッチン側の奥様とダイニングテーブル側のご主人が顔を合わせて対話できるスペースに早変わり。そして、突然の来客でも、さっと食器を配膳台に戻し、障子を閉めるだけですっきりと隠せる・・・随所に様々な工夫が施されており、コンパクトなのにとてもマルチに活躍します。
この「箱パントリー」を実際に見学できます。ご興味のある方は、上越モデルハウス「塩屋新田の家」にご来場ください。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
シンプルで美しい「箱窓」
July 3, 2016
上越モデルハウス「塩屋新田の家」の玄関ホールに採用されている「箱窓」。
限りなくシンプルさを追求し、余計なものは一切排除。まさに「禅」の思想です。外から見ても中から眺めても「美しい」の一言に尽きる・・・そんなデザインを追求したアイテムの一つです。
ちなみに、中からの景色は、玄関アプローチに植えられたモミジやマユミ、アカシデ、そして長寿桜などがその季節に応じて色とりどりの表情をまるで小さなスクリーンのように映し出してくれます。
また、外からのアングルでは、中の障子を開けることによって、夕方から夜にかけて、ダイニングテーブルからの明かりがほんのりと映り、まるで看板のない小さなカフェレストランのような雰囲気です。
窓は採光と通気の他に、ソトの美しい風景の一部分を切り取り、ナカの空間に広がりや情緒を与えてくれる額縁のような役割も担っています。だから、キノイエでは、その額縁のデザインにも「飽きのこない美しさ」を追求しました。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
自然の恵みを設計に~「パッシブデザイン」入門編
July 2, 2016
みなさん、「パッシブデザイン」あるいは「パッシブ設計」、「パッシブハウス」という言葉を耳にしたことはありますか?最近、建築業界ではもう流行語のようになっていて、今や、どんな住宅会社でも、「パッシブ」という言葉を多用するようになりました。そのため、誤解も多く生まれるようになりました。いずれにしても、これから住まいづくりを考える皆さんにとって、とても重要なキーワードになることは間違いありません。
そこで、本日は、この「パッシブ」という言葉について、正しい理解をしていただくため、誰でも分かる入門の入門編・・・になるような、分かりやすい具体例を用いて話をしてみたいと思います。
写真は、キノイエ上越モデルハウス「塩屋新田の家」の南側デッキ部分を6月8日正午に撮影したものです。2階の屋根の軒の影がちょうど1階南のサッシのラインより手前に落ちているのがお分かりでしょうか?ちなみに、そのもう少し先の6月21日は夏至です。その日の写真はありませんが、ほぼ今のラインと同じくらいです。つまり、真夏のいちばん日差しが厳しい時期に、サッシの内側には太陽光が入らないように軒の長さが設計されているのがキノイエの住まいです。反対に、真冬は太陽の位置がぐんと下がります。そのため、南の大きな窓を通してリビングの中に温かな陽射しが入り込むように工夫されています。
この塩屋新田の家も、軒の長さは、水上側(北側)、水下側(南側)、そしてけらば(東西方向)とそれぞれに固有の寸法が計算されています。単なる見た目のデザインの良し悪しではなく、一年間の日射角度を計算して設計されています。
ちなみに、塩屋新田の家の南側の庭には、モミジとセイヨウカマツカと呼ばれる2種類の落葉樹が植えられております。成長すると、隣地の視界を遮るとともに、夏は厳しい日射を緩和してくれます。冬になると葉はすべて落ち、貴重な太陽の光と熱を室内に届けてくれます。
「パッシブ」とは、和訳すると「受動的」という意味で、「能動的」を意味する「アクティブ」という言葉の対義語になります。つまり、「パッシブデザイン」、「パッシブ設計」とは、なるべく冷暖房機器の過剰な運転に頼らず、太陽の光や熱、そして風といった「自然エネルギー」をそのまま受動的に利用して、住まいと地球に負荷をかけない快適な暮らしを実現しようとする設計思想のことを言います。 太陽の光と熱、そして自然の風は¥0(タダ)です。自然の光や風を上手に活用して冬は暖かく、夏は涼しい住まいを実現することで、電気やガスなどへの依存率が減少し、省エネでありながら快適で健康的な暮らしが実現することができます。
軒の長い家。縁側があり、庭には落葉樹・・・実は、昔の日本の暮らしは、こうした考え方に基づいた家づくりを当たり前のように実践していました。夏は蒸し暑く、冬は寒い。その四季の厳しさを先人の様々な知恵と工夫で乗り越えてきました。しかし、高度経済成長の過程で、製品開発競争が起こり、私たちの暮らしの中に様々な機械器具が取り入れられると、電力・石油・ガスなどの需要がどんどん上がっていき、エネルギーの消費量、依存度が極めて高い国へと変貌していきました。今や世界レベルの問題となっている地球温暖化。日本はCo2の削減に対し、非常に高い削減目標を課せられています。達成のためには、日本のエネルギー消費の14%以上を占めている家庭用のエネルギー消費を抑えることが急務となっています。ちなみに、家庭用のエネルギー消費は、個人消費や世帯数の伸びにつれて大きく増加しており、1973年度を100とすると、2011年度は208.9と2倍以上に増加しています。(資源エネルギー庁「エネルギー白書2013」より)
パッシブデザインのこと、少しだけお分かりいただけましたでしょうか?パッシブ設計には、この他にも高い窓性能や断熱性能、気密性への適合や熱交換換気への対応など、クリアすべきいくつかの技術的なハードルがあります。私たちキノイエスタッフは、この上越地域の住宅会社でいちばん最初に一般社団法人パッシブハウスジャパンが認定する「省エネ建築診断士」の資格を取得し、パッシブハウスの研究に力を注いできました。
上越エリアでいち早く省エネ建築診断士の資格を取得したキノイエスタッフたち
省エネ先進国ドイツの厳しい基準をクリアし、日本国内で12番目に認定されたパッシブハウス「前沢パッシブハウス(富山県黒部市)」の施工を弊社で担当しました。(発注者:YKK不動産株式会社/設計:キーアーキテクツ/竣工:2015年11月)
パッシブ設計のさらに詳しいお話につきましては、今後少しずつこのブログでご紹介していきたいと思います。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
メンテナンスの不安
June 30, 2016
キノイエの上越モデルハウス「塩屋新田の家」では、外壁に西洋漆喰と、地元糸魚川産の杉板を採用しています。
24時間365日、何十年と風雨にさらされるのが外壁です。メンテナンスフリーという仕上げ材はありません。まず、塗り壁と聞くと、材料も高価で施工費用が高い上に、メンテナンスにも手間がかかって簡単には手が出せないとお考えの方も多いと思います。
実際、やはりメンテナンスは必要となります。ですが、ここでもう少し掘り下げて考えてみましょう。現在、住宅業界で広く一般的に採用されている外壁材に、セメント質と繊維質を主な原料にして様々なパターンで板状に成形された「窯業系サイディング」と呼ばれる外壁材がありますが、こちらもメンテナンスは必要です。目地材のコーキング材については、日照、立地条件等にもよりますが、7年~10年の間に硬化によるひび割れや切れ、剥離などの劣化が始まり、ほうっておくと、雨水等の浸水の原因になります。また、外壁本体も現場で住宅に合わせてカットした切断面から吸水したことによる劣化、またはサイディングボードの表面の劣化によって吸水してしまい、ボードに反りが生じるなどリフォームが必要になってくるケースも少なくありません。私たちの経験上、この地域での施工経験上、15~20年でメンテナンスが必要になるのではないかと予測できます。
その場合、表面の塗装、ひどい場合は、貼り替えが必要になります。塗り壁は、既存の外壁を洗浄し、その上から塗ります。メンテナンス方法として、「貼り替える」と「上塗り」する・・・当然、費用は後者の方が安価に抑えられるケースが多くなります。
また、木の外壁も、メンテナンスは塗り替えとなります。しかも、3~5年くらいの短期です。ですが、費用は安価。一般的に、しっかりメンテナンスをしていれば、一番長持ちする外壁材だとも言われています。ですので、キノイエで使用する杉板の外壁材はメンテナンスのしやすい低い所に施工しています。20年、30年、場合によっては50年と住み続ける家です。大きなスパンで、大きな費用を数回かけるか、コンスタントに小さな費用で長持ちさせるか・・・いずれかの選択となると思います。
キノイエは、何十年経っても飽きのこない普遍的なデザインであると同時に、小さな費用で少しずつメンテナンスをしながら大切に長持ちさせる素材を厳選し、「永く住み続ける」ことを念頭においたつくりを心がけています。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
私たちがやらないこと
June 28, 2016
設計は会社の命でもあり、コストも伴います。設計は建築士が相当の時間を要して真剣勝負で行うことで、いいプランが生まれます。なので、「いくつもの会社のプランを見比べて判断したい」というお客様のご依頼には残念ながらお応えできません。もし、仮に3組のお客様の設計を行い、縁あってご成約に辿り着いたお客様が1組であったとすると、残り2件の設計料は、全てご成約に至ったその1組のお客様に負担がかかることになります。だからこそ、建主様の利益を守るため、私たちの理念、設計思想に共感していただき、本申込をいただいた方に全力で設計しようと考えました。
ソトを上手に取り込み、小さくつくって大きく暮らす。それが、賢い家づくり。コンパクト設計が肝です。以前のブログ記事「引き算」する設計でもお話しさせていただきましたように、単なる間取りの足し算で、結果として住みづらい家をつくってはいけないと肝に銘じています。敷地全体を家と考え、切れ目のない、心地よい「場」を展開する設計術を最大の価値と考え、引き算する設計に磨きをかけています。
「お洒落」の定義も「落ち着き」の基準もそれは人それぞです。なので、同業他社や業界関係者を批判する気持ちは毛頭ありません。あくまでも私たちが理想と考える設計思想です。シンプルに表現するとすれば、派手なデザインではなく資産価値のあるデザイン。「永く住み続ける」ことを念頭に置くからこそ、お施主様がその後歳を重ねていくことにまで思いを巡らせ、生活感・暮らしやすさを重視した設計・デザインに徹する・・・「落ち着き」とは、そんな思想から生まれてくるものであると信じています。
私たち住宅業界が最も陥りやすい落とし穴であると考えています。住宅建築もビジネスです。ですから生産性と効率を求めることは当然のことです。しかし、家づくりという仕事の本質は見失ってはいけません。暮らしが見えない家は後悔の元。だから巧みなセールストークで、型にはめる規格住宅は売りません。
キノイエの家は唯一無二です。見積比較の上で簡単に値引きできるような価格をお客様に提示したりはいたしません。その「駆け引き」そのものも営業コストと考えれば、これほどお客様に失礼なことはありません。徹底したコスト管理の元、当社に決めていただいた方だけに全力でベストプライスをご提示させていただきます。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
永く住み続ける
June 26, 2016
大きな投資によって手に入れる住まい。だから、その投資に見合う住まいでなければなりませんが、暮らし方も判断基準も住まい手それぞれに異なります。とても難しいテーマですね。
でも、今回はあえてその点について少し触れてみたいと思います。
投資に見合った住まいであるかどうかの物差しの一つに「満足度」があります。デザイン、間取り、性能、価格・・・いくつかの要素を総合して判断されるお施主様の心理的な満足度はとても分かりやすい指標です。住まいが完成した時、「思い通りの家ができた!」、いや「思った以上の家になった!」とお施主様が純粋に感じられた時、いい買い物ができたということになるのかもしれません。
ですが、そこに「時間」という要素を加えて考えてみるとどうでしょう?5年後、10年後、20年後・・・その時々に、お施主様の思いがどう変化していくのか?むしろ完成した瞬間よりも、その後長く長く続くご家族の人生に常に寄り添う住まいを通じて、お施主様の心の内から「この家を建てて本当に良かった」と感動が舞い戻ってくるような瞬間が何度もある・・・つまり、投資に見合った住まいであるかどうかは、建てた時から高い満足度を持続、あるいは時が経つほどに高まっていく、本当の意味で「永く住み続けられる」住まいであるかどうかということではないでしょうか。
そのために、作り手がやるべきこと、守るべきことはたくさんあります。
いつまでも飽きのこない普遍的な美しいデザインを提供すること。経年変化を味わいとして感じられる本物の素材を厳選すること。ご家族のライフスタイルの変化にも柔軟で価値の下がらない空間であること。お客様と私たちの人間関係が良好であり続け、深まっていくこと。そして、お施主様の住まいを何世代にも渡り見守り続けられるように、いかなる経済環境の変化にもびくともしない経営で会社が存続し続けること。私たちは、様々な角度から本当の意味で「永く住み続けられる」家づくりを追求していきたいと思います。
今後このブログで、一つひとつ紐解きながらお話していきたいと思います。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|
「引き算」する設計
June 25, 2016
日本の住宅は、世界の先進地域からみればまだまだ発展途上ではあるものの、技術・性能共にそれなりに進化の道を歩んできました。今やどの住宅会社のチラシを見ても「高気密・高断熱」「耐震」「ゼロ・エネルギー・ハウス」などなど、技術の進歩が生み出す性能についてたくさんのことが語られています。それはそれで悪いことではないのだと思います。一昔前は「欠陥住宅」に出会わないことが重要なテーマでしたから、その違いは歴然です。
では、「暮らしやすさ」についての進化はどうでしょう?家の性能は上がって、私たちの暮らしはどう進化したのでしょう?今回は、そんなことについて考えてみたいと思います。
その前に、そもそも、「暮らしやすい家」とは何なのでしょう?それは、その家の中に快適で居心地のいい「場」がどれだけあるのか?ということに大いに関係がありそうです。
これまで多くの住宅会社が行ってきている家づくりの進め方、それは、まずご家族の要望をお聞きして「間取り」にまとめることから始めます。お客様にとっては、夢がふくらむとても楽しい瞬間でもあります。ところが、その反面、様々なよくない現象が起こります。これはよく聞くケースですが、営業やプランナーが御用聞きのようにお客様の意見をどんどん聞いてプランをしていくと、部屋どうしの連なりに欠け、小部屋ばかりが多くなり、結果として家のサイズも随分と大きくなってしまった。それなのに、家族の生活が変化するとほとんど使われず、物置と化す部屋ができたり、家の中に寒い場所と暑い場所の差が発生したり、家族の気配が途切れたり・・・実は家づくりでいちばん大切な「居心地の良い場」の創造が、単なる間取りの足し算に終始してしまっていたりして、何とも住みづらい結果を招くケースも少なくありません。それではいけないと、今度は反対に、最初から決められた「売れ筋の」間取りパターンに「生活を合わせる」という家づくりも増えていったように思います。
その点で言えば、まるで進化とはいいがたい、いや、むしろ後退ともいえる現象が家づくりの現場で起こってしまっているように感じます。なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょう?最大の原因、それは「暮らしやすさ」のため、ちゃんと「引き算する設計」ができていないからです。実は足し算よりも引き算することの方がとても難しい芸当なのです。
キノイエでは、敷地全体を家と考え、切れ目のない、心地よい「場」を展開する設計術を最大の価値と考え、引き算する設計に磨きをかけてきました。家の前を通る人の目、そこに住む人が、景観を楽しむための視線、健康で、なおかつ暮らしを充実させるための工夫・・・そこにこだわり、その家での暮らし方にフォーカスしていきます。平面プランは、敷地図に家の形を配置するところから始めます。 ベース(母屋)とゲヤ(下屋)、どこに窓があると気持ちいいか(視線や風)、道路とのつながり、庭とのつながり、太陽との関係、隣家との間隔などなど…そういった、居心地と快適さに関わる重要な要素を一つずつ検討していきながら、空間の全体像を決めていきます。「○○部屋を○畳」という足し算設計はしません。また「南側玄関○○坪プラン」と言ったような、形の決まった「規格型住宅」の手法もとりません。スケルトン(構造)は、概ね標準化をしていますが、インフィル(内部)は自由。その土地・暮らし方に合わせ提案する「暮らし提案型住宅」なのです。
ベースとゲヤの内部のレイアウトは、そうした「下ごしらえ」をきちんと行った後につくられますので、プランの根拠に迷いと矛盾がありません。素材は、私たちが厳選した素材を提案・標準化していますので、コストが安定しています。だから、結果としてコンパクトでハイクオリティ、かつコストバランスの良い住まいが生まれるのです。
これが「小さな邸宅」の考え方の原点です。キノイエのこうした家づくりの考え方に共感していただける方に、ぜひ一度、足を運んでいただき、居心地のよい空間を直接五感で感じとっていただければ幸いです。
|上越・妙高・糸魚川で最高の地元ライフ|自然素材の注文住宅|木の家をつくる工務店|小さな邸宅|キノイエ|www.kinoie-niigata.com|0120-470-456|