クラシックカーのまち
September 5, 2016
昨日は、糸魚川市内にて、「第25回日本海クラシックカーレビュー」が開催されました。
1974年以前の国内外の純粋なクラシックカー(当時の価値を失うような改造は一切認めない)にこだわり、厳選された200台の車両が、全国からこの日のために糸魚川市に集まってきます。しかも、全てが今なお公道を走行することができる”現役”なのです。
このイベントには長年、弊社からも代表の猪又をはじめ、スタッフがボランティアとして参加しています。
当日は近年の中でも最高の天気に恵まれ(恵まれすぎて、かなり暑い一日でした)、来場者も非常に多く、報道発表では3万3,000人に上るとのことです。まさに、糸魚川市を代表するビッグイベントです。
それにしても、クラシックカー愛好家の方たちは、本当にモノを大切にする方が多いですね。当時の純正パーツが存在していない車種も多いため、クラシックカーを維持するには相当の苦労とお金がかかります。それでもなお、「親父の代からの大切な思い出」、「このデザインと走りに惚れ込んで、ずっと一緒にいたい」、「長男が生まれた時に購入したので、大切に乗り続けていきたい」など、単なる趣味の枠を超え、生き方そのものに重ね合わせて、その車を大切にする気持ちが、会話の中からひしひしと伝わってきます。
住まいに対しても同様にそうありたいですし、そういう住まいづくりを続けていかなければならない・・・そう再確認した一日でした。
まさに、最高の地元ライフ。また来年もたくさんの人生を楽しむエキスパートの皆様との出会い楽しみです。
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オレンジフェア実行委員会打ち上げ
September 4, 2016
先日はオレンジフェアの実行委員会の打ち上げ会でした。
「どこにもない夏休みの最高の思い出を」・・・イベント会社などに一切頼らず、企画も設営も全て社員の手づくり。毎年新しいテーマと子供たちがワクワクするような仕掛けを登場させます。以前のブログでもご紹介させていただきましたが、今年で⒓年目を迎えたオレンジフェアは、過去最大4,000名のご来場がありました。イベント後日、小学校の先生より聞いた話ですが、今年の夏休みの宿題だった絵日記のテーマにオレンジフェアのことを取り上げた生徒が圧倒的に増えたとのことでした。確実に地域の定番行事として定着していることがうかがえます。
打ち上げ会では、それぞれのブースリーダーを中心に、当日の出来事から反省点や苦労話、笑えるハプニング、そして気が早いですが、既に来年の企画アイディアが次から次へと飛び出すなど、時間内では収まらないほどのたくさんの話題で盛り上がりました。
その中で、ちょっと嬉しかったスタッフのエピソードをご紹介します。
水遊びのアトラクションコーナーで、何回も何回も滑り台で滑って遊んでいた小学校低学年くらいの女の子がいました。その子は滑り台係のスタッフとそのうち仲良くなり、そのスタッフに「これ食べて」と自分のイチゴかき氷を持ってきてくれました。スタッフも役割があるため、一気に平らげ、「ごめんね。ここを動けないからゴミに捨ててくれる?」と頼んだところ、笑顔で受け取って離れたお母さんの元へ駆け寄って行きました。そのスタッフとお母さんの目があうと、そのお母さんは何度もスタッフに会釈しながら目頭を押さえて涙し、その子供の頭を撫でて褒めていたそうです。その子が他人に気遣いをする行動がお母さんの目にはとても新鮮だったのでしょう。大人たちとのかかわりの中で、ほんの少し成長した女の子の姿がそこにありました。
この地元で生まれ育った私たちが、地元の人々とのかかわりと仕事に囲まれ、そのことに感謝し、さらに喜ばれる仕事を創造する。そのことを通じて、地元の人々の思い出や心に刻まれていく・・・まさに、「最高の地元ライフ」。これからも私たちは、地元の人たちとの関わりの中で、誇れる仕事を次の世代につないでいきたいと思います。
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「空き家」を「資産」に
September 3, 2016
先日、糸魚川商工会議所の「空き家・空き店舗対策特別委員会」に出席してきました。今回で2回目の会合。商工会議所の議員でもある弊社は、建築・不動産の実務有識者として意見を求められました。参加メンバーは、他にも私たちと同業の建築・不動産業界の代表の方々や司法書士の方など数名の有識者で構成されており、まずは現状の把握と、各委員の取り組みや考えについて活発な意見交換がなされました。
少子高齢化により糸魚川市内山間部、沿岸部はもちろん、中心市街地でも深刻化している空き家問題。この解決には、地元のニーズはもちろんのこと、全国各地からの移住希望者(U、Iターン)に魅力的な田舎暮らしを提案できるか?という部分も非常に重要です。まさに、私たちの掲げる「最高の地元ライフ」というコンセプトが重要になってきます。私たちもこれまでに多くの古民家移築、リノベーション、古材利用などを手掛けており、この問題に対して私たちが貢献すべき部分は非常に多いと感じました。
カネタ建設がフルリノベーションを手掛けた築150年以上の古民家
シェラリゾート白馬様の「みずばしょう温泉 古民家の湯」。カネタ建設による設計施工。なんと築150年以上の古民家2棟をつなげて温泉の上に組み上げるという技術的難易度の高い建築物です。
しかし、個々の企業が孤軍奮闘するだけでは意味がありません。空き家問題を地域全体の問題として捉え、全国の潜在的な移住希望者の皆様に、この地域の暮らしを知っていただき、共感していただくためには、家主と買い手や借り手、不動産業者、建築業者、そして行政関係者などの関係者が手を結び、チームとして取り組んでいく必要があります。
そのような中で、今回の会合は、今後の布石となるとても重要な意味を持つ意見交換になりました。まずは、お互いの得意分野と役割を明確にして、徹するべき役割に徹するために、どのような体制をとるのか。専門家、専門業者、非営利団体、そして行政が可能な限り有機的に手を結べるような青写真を描く・・・とても大きな展開のための最初の小さな一歩を踏み出せたような気がします。
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最高の地元ライフ。~スタッフ編
August 30, 2016
先日の8/27(土)の地元新聞『糸魚川タイムス』の1面記事「糸魚川 生き生きリレー ~地域の隠れた主役たち~」に、弊社の若手土木スタッフの村上君が登場しました。24歳でご覧の通りのイケメン。しかも、性格も優しい好青年!カネタ建設の入社歴はまだ浅く、土木の仕事は未経験でまだまだ見習い期間中。ですが、年を重ねてみるみる逞しく成長している姿に、スタッフみんなも大いに期待をかけているところです。
そんな彼を紹介する今回の記事には、海好きで多趣味の彼がいちばん夢中になっている「SUP(スタンド・アップ・パドル)」のことについて大きく紹介されています。SUPは、専用のサーフボードに立ってパドルを漕ぐ、ハワイ発祥のマリンスポーツ。この地元ではまだ愛好家は少ないですが、最近メディアでも取り上げられることが多くなり、これから徐々にこの地域でも注目されるスポーツに発展する予感です。
そんな彼がSUPに触れるきっかけとなったのが、縄文時代の丸太舟を再現した”縄文カヌー”で長距離航海を目指す「日本海縄文カヌープロジェクト」。これまで、糸魚川市から上越市までの航海実験に参加。福井県で開かれている丸木舟競漕大会にメンバーとペアで出場し、昨年までに2年連続で準優勝する腕前の持ち主。そんな彼曰く、「(SUPに乗っている時は)海の上を散歩している気分になれるので、とても気持ち良い。」とのこと。ちなみに、下の写真は押上海岸の沖から撮った夕日です。
そして、そんな彼が夢中になっているもう一つの趣味が、登山。下の写真は、去年、長野にある木曽駒ヶ岳に登った時の写真。真ん中で両手を広げているのが村上君です。「登頂した時の達成感と眺めはとても最高でした!」とのこと。
「休日は家に籠っていられない性格です(笑)」という村上君。まさに、この地域特有の自然財産を謳歌できる多彩な趣味に囲まれ、まさに「最高の地元ライフ」を満喫しています。彼のこれからの活躍をぜひ応援してください。
・・・ちなみに、そんな村上君のもう一つの顔は・・・
ジャーン!!先日8/11に開催された弊社感謝祭「オレンジフェア」に登場した、あやしいムエタイ選手「リュウチャイ・ムン・ラカーミ」でした(笑)
彼の詳しい活躍の様子をもっとお知りになりたい方は、こちら「カネタ建設のブログ」をご参照ください。
そして、弊社にはまだまだ個性あふれるスタッフがたくさん在籍しています。こちらのブログでも少しずつご紹介していけたらと思っています。
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夏の終わり
August 28, 2016
もうすぐ夏休みも終わります。
皆様はこの夏、ご家族とどのような思い出をつくりましたか?私たちの暮らす上越地域は、海、山、川に囲まれ、望めばいつでも自然の恩恵に触れることができます。まさに、最高の地元ライフ。
こちらは、キノイエスタッフのある夏休みの一日です。
糸魚川市能生地区にある弁天岩。糸魚川の周辺の海岸は砂利浜が多くなりましたが、こちらの海岸は遠浅で砂浜もたくさんあるので、毎年家族連れでにぎわいます。
大胆なサービスショット!さて、どのスタッフの家族でしょう?
正解は代表猪又の家族。こちらは三女、まおちゃんでした(笑)
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美しい現場(10S+A・T)
August 26, 2016
弊社では、毎月定期的に建設現場のパトロールを行っています。
パトロールのチェック項目は非常に細かく設定されており、安全衛生はもちろん、品質、そして現場マナーのあり方に至るまで、厳しいチェックが入ります。チェックの入った項目は、すぐに改善指摘事項として担当者並びに関係する全ての協力業者に伝達される他、それ以外の全ての協力業者の皆様にパトロール実施報告書として配布されます。
ちなみに、パトロールには、安全衛生担当者の他、現場担当以外の営業スタッフや建築スタッフなども参加します。さらに、弊社のスタッフの他にも協力企業のスタッフさんにも持ち回りで参加していただき、一つひとつの現場について社内外の厳しい目でチェックしていきます。担当者以外のメンバー複数の目で見ることによって、担当者にとっての都合のいい現場品質ではなく、誰の目から見ても納得のいく「美しい現場づくり」のための様々な是正要求や改善アイディアが集まってきます。また、参加した協力業者の担当者にも当事者意識が芽生えてきます。まさに、”終わりなきカイゼン”のための「善の循環」のような仕組みを目指しています。
ところで、「美しい現場」とはどういう現場なのか? 私たちは、こんな指針をつくりました。
写真は、「10S+A・T」と呼ばれる、建築現場に入る者が徹底するべき事項をまとめた弊社独自の指針です。「5S、(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」という言葉を聞いたことがある方は非常に多いと思いますが、私たちはさらに項目を増やして10Sとし、そこに「挨拶(A)」と「体調(T)」の2項目を加えて、自社のスタッフ、協力業者の皆さんに周知徹底を図っています。
10S+A・T
【1A 挨拶】
朝一番、帰る前、仲間や周辺住民への挨拶は明るく笑顔で
【1S 整理】
いる物といらない物を分けて、いらない物を捨てる
【2S 整頓】
いる物を所定の場所に、使いやすいように置く
【3S 清掃】
身の回りや職場を、常にゴミや汚れの無い状態にする
【4S 清潔】
整理、整頓、清掃の3Sを維持し、きれいに保つ
【5S 躾】
決められたルール・手順を正しく守る
【6S 作法】
礼儀作法を身につけ、態度・言葉使いに配慮する
【7S 参加】
安全な現場環境作りは、全員参加が原則
【8S 習慣化】
作業方法や行動が身に付くまで徹底する
【9S 設備】
機械設備や作業用設備を安全に維持する
【10S 即実行】
気付いた事や、やるべき事は後回しにしない
【1T 体調】
元気な体と精神を維持することは全ての基本
いい仕事をする人は、現場も道具もきれいだと言われています。こうした活動を地道に続けることで、まずは「人」を磨き、本当の意味で「美しい現場」、そして「よいチーム」をつくっていきたいと思います。
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黒部市の”まちの顔”事業に関わる
August 25, 2016
この度、ご縁をいただき、カネタ建設は富山県黒部市のK-TOWN第2期工事(YKK様単身寮第2期工事)の施工で参加させていただくことになりました。先日、合同地鎮祭(並びに1期工事の竣工内覧会)が執り行われ、弊社も玉串奉奠に参加させていただきました。
黒部市の地域経済を支えるビッグ企業YKK様本体が手掛ける社員寮で、まさに黒部駅前の中心市街地が大きく様変わりをするまちづくり事業でもあります。ここに私たちが関わらせていただくことは、非常にセンセーショナルなニュースですが、この背景には、昨年施工させていただいた、国内12例目、北陸第1号のドイツ認定パッシブハウス「前沢パッシブハウス」の実績が評価されたことが非常に大きく影響していると思われます。しかし、それは単に私たちの仕事の評価だけではなく、これまでに様々な形で私たちにご助言やご支援をいただいた多くの関係者の皆様のおかげであることに心から感謝しなければなりません。また、その期待に応えるべく、より一層の努力で、高品質の住宅づくりに英知を結集していきたいと思います。
第2期工事は、株式会社アプルデザインワークショップ設計監修により、共用施設となる「K-HALL」(鉄骨2階建て)をメインに、木造2階建ての社員寮を全14棟(56戸)を建設します。カネタ建設はそのうちの6棟の社員寮施工を担当させていただきます。施工場所は、なんと、あいの風とやま鉄道黒部駅前隣接の一等地。カネタ建設は、中でもその黒部駅寄りの街区で数棟同時施工で入らせていただきます。
この日はYKK吉田会長、富山県石井知事、黒部市堀内市長をはじめとする錚々たるご来賓、関係者の皆様がご列席の中、弊社代表猪又も玉串奉奠をさせていただきました。この合同地鎮祭には多くの地元メディア、業界関係の記者の皆様が集まっており、この事業のインパクトの大きさを物語っていました。
まさに、黒部のまちの顔になる重要な建物。しっかりと責任を果たしてまいりたいと思います。
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『上越タイムス』に掲載されました
August 24, 2016
先日、地元新聞の『上越タイムス(糸魚川タイムス)』さんに、先日8/11に開催されたカネタ建設ファン感謝祭「オレンジフェア2016~こらしめられるなつやすみ」の記事が掲載されました。
感謝祭でもあり、「人の展示会」、「私たちの研修」でもあるこのオレンジフェア、今年で12年目を迎えました。年々、地域の夏のお祭りとしての定着が進んできたようで、おかげさまで今年の来場者数は過去最高の4,000人(主催者発表)。確かに、昨年とは賑わい方が全く違いました。イベント会場そのものの人の賑わいもさることながら、一昨年頃からイベント会場の隣の公園にレジャーシートを広げてお弁当を開くお客様の姿がちらほら見え始め、今年はなんとその公園内までもが家族連れのレジャーシートでびっしりになっていました。聞くところによると、ある地区の子供会行事そのものが「オレンジフェアに参加する」となっているとか!?
「おまんた祭り、クラシックカーレビューに並ぶ、地元の三大行事の一つになったね」そんな風に言ってくださるお客様がとてもたくさん増えてきたのが印象的でした。本当にありがたいことです。
ただし、その分、課題も残りました。毎年十分な食材確保と、前年よりもメニューの早い提供のためにあらゆる改善策を用意して当日を迎えたものの、今年もまたまた長蛇の列。大変暑い中、家族のために列にお並びいただいたすべてのお客様に心からお詫び申し上げます。そして、次回は必ず改善し、皆様に気持ちよく縁日広場を楽しんでいただくと共に、アトラクションブースもさらにアイディアと工夫で来年も驚きと感動を提供したいと思っています。社員全員と協力企業の皆様の手による100%手づくりの感謝祭。来年も皆様にとって最高の夏の思い出の1ページになるよう従業員一同精一杯努力してまいります。
それにしても、期待値が上がった分、来年がプレッシャーです。しかし、そのプレッシャーこそが、私たちのレベルアップと、常に新しいことに挑戦する企業文化につながっていくのだと思います。
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建築家 趙海光先生からの応援メッセージ その1
August 20, 2016
キノイエの企画・設計・監修を担当していただいた建築家の趙海光(ちょう・うみひこ)先生から、先日こんな素敵な応援メッセージが届きました!現代町家の考え方を提唱し、全国の建築関係者から注目されているその道のエキスパートでもある趙先生が、私たちのために特別に寄稿していただきました。しかも「その1」とあります。この続きもありそうなので、とても楽しみです。まずは、「その1」をどうぞ。
趙海光(ちょう・うみひこ)先生
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【その1 厚板で我が家をリフォームした話】
皆さんこんにちは。キノイエ応援団の趙海光(ちょう・うみひこ)です。じつは縁あってキノイエの企画と設計に参加しました。ですから私はキノイエ設計チームのチームメイトでもありますし、応援団でもあります。
カネタ建設の設計部のみなさんをお手伝いして、一緒にキノイエモデルを考えた日々はまことに楽しかったのですが、ついにモデルハウスもオープンしたことですし、こんどは遠くから(私は東京の目黒に住んでいるのです)キノイエ応援メッセージを送ることにします。今日はその第一回目で「我が家のリフォーム」のお話。
え?キノイエと関係ないじゃないかって?いやいやそれがあるんですよ。
私は木造住宅を設計することが多いのですけれど、でも自分が住んでいるのはコンクリートマンションなんですね。なんかこう、忸怩たるものがありました。そこで、せめてもの罪滅ぼしというわけで、自分の住むコンクリートマンションの内部をムクの木でリフォームすることにしたのがちょうど5年前のことです。まずそれまでの内装をぜんぶ取っ払って、住まいを裸のコンクリートの空箱に戻しました。で、その空箱に持ち込んだのが大量の厚い木の板。ぜんぶで6.2㎥ありましたからかなりの量です。
皆さんは自分の家にどれくらいの木が使われているかご存知でしょうか?
日本の木造住宅の場合、平均的な木材使用量は平方メートル当り0.19㎥だそうです。30坪の家だと18.8㎥の木が使われているということになります。でもこの木材の大部分は、じつは壁や天井の裏側に隠されているんですね。木造住宅なのに木が表に見えない、なんてことが最近はよくありますが、これはまことにもったいない。なぜって、木材がもっている湿気を調節する能力をわざわざ裏に隠して殺しているんですから。
我が家のリフォームで使った木材量6.2㎥というのは、ですから平均的な木造住宅の三分の一。ただし、その木を隠さずにぜんぶ室内にむき出して使ったらどうなるか、室内の気候がどう変わるか、それが我が家での実験でした。
コンクリートのマンションにお住まいなった方なら分かると思いますが、夏はベタベタの湿気、冬はカラカラの乾燥で、加湿器やエアコン無しではとても住めない。これはなかがビニルクロスとかポリ合板とか、塩ビ製品でできているせいで、湿気を溜めたり吐き出したりする調湿機能が室内に無いというのが大きな理由です。それなら、加湿器や除湿機に頼らずに、調湿機能の大きなムクの木をむき出しで内装に使ったらかなり改善されるんじゃないか、というのが我が家のリフォームの狙いでした。
さて結果はどうだったか?
リフォーム後の室内はこんな感じになりました。(写真)壁は厚さ3センチのムク板。床や家具もムク板ですが、こちらは細幅の木を集めて幅広の板にした集成材です。
ムク板を持ち込んだ効果がはっきり見えたのは梅雨時でした。これまでコンクリートの壁面やガラスに出ていたうっすらとした汗(結露)が消えちゃったんですね。雨の日でも室内はサラッとしていますし、ジメジメ感がずいぶん改善された感じで驚きました。さすがに真夏と真冬はエアコンを使いますが、でも自然室温のまま暮らせる期間がかなり増えたのは収穫です。
さて、キノイエの企画を進めていたとき、私はこのときの経験をキノイ設計チームの面々に話してみたのです。———なんでいまの木造の家って、木造なのに木が見えないんですかね。
さすが皆さんプロですね、即座にいろんな答えが返ってきました。
———木を現しにするにはそれなりの技術がいるしお金もかかる———いまの家って断熱気密化が進んでいるから木が狂いやすい———でも木造なのに木が見えないってやっぱりヘンだ———かといって、木だらけっていうのもなんかヤだ、いまの感覚に合わないし。
そこで私はもう一押し、こう言ってみました。———高気密高断熱のことはよく言われるけど、木造の調湿性能についてはなんで言わないんだろう。
さてここから後のケンケンガクガクの議論については長くなるので省略。でもこのときの議論のおかげで、めざすキノイエのイメージが少しづつ固まってきたのでした。
カネタ建設には長いあいだ木造を手がけてきた伝統がありますから、木を扱う技術力は十分すぎるほどです。ただ、それをひけらかすような家づくりじゃつまらない。問題はバランスです。木を隠すところ見せるところのバランスを考えながら、木の力を室内環境にも活かすことがキノイエの目標になりました。つまり高気密高断熱を超えたさらにもう一段階上の性能ですね。
この性能は数値で示すようなものではなくて、むしろ「暮らしの性能」みたいなものです。だから家全体にかかわる。たとえば窓を開けばすぐに壊れてしまうような性能では意味がないわけです。土間や縁側、床下送風エアコンや蓄熱断熱材など、キノイエに搭載されたさまざまなアイテムがそんな議論の末に発見されていきました。
ところで、なかでも私が嬉しかったのは「内装に厚板を使ったらどうか」という提案にキノイエ設計チームの面々が賛同してくれたことでした。そればかりか「どうせなら地場の木でできた厚板を探そう」と話が盛り上がって、地元の製材所や材木屋さんとの打ち合わせがさっそく始まったのです。
キノイエモデルの階段板やタナ板、ベンチ、それに家具などの多くはこうして発見された「越後スギパネル」で製作されました。
そこにはまた長い物語があるのですがーーーでもちょっと疲れちゃいましたね。その物語はまた次回の応援メッセージの時にさせてください。で、もしもまだキノイエモデルをご覧になっていない方がいたらぜひお出かけを。その家の暮らしのかたちはとっても面白いですから。
***************
趙先生、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。(キノイエ スタッフ一同)
趙 海光 ちょう うみひこ (一級建築士)
1972年法政大学工学部建築学科卒業。1980年(株)ぷらん・にじゅういち設立。
1990年代に台形集成材を使用した一連の木造住宅「台形集成材の家」を設計。
2000年代に「フツーの木の家」シリーズ。
2007年以降は町の工務店ネットと共同で「現代町家」シリーズに取り組む。
一貫して国産材を使用した現代型の木造住宅を設計するとともに、『住宅建築』誌を中心に木造住宅についての論考を多く発表し、国産材の開発と普及に努めている。
編著書に『高山建築学校伝説』鹿島出版会。
また『新建築住宅特集』に「在来工法ファイル」を連載(2004~2005年)
受賞歴
2011年 「びおハウス」により、チームおひさまのメンバーとしてグッドデザイン賞。
2009年 「博多・現代町家」により、町の工務店ネット、長崎材木店とともにグッドデザイン賞。
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北陸初!住宅業界の「F1」に携わる
August 16, 2016
キノイエの建築技術レベルはどのくらいですか?・・・そう聞かれたら、迷わずこう答えます。
「上越エリアでトップ、いや、全国でもトップクラスです」
ちょっと大袈裟じゃないか?(笑)と思われるかもしれませんが、実はその根拠がちゃんとあるのです。なぜなら、世界最高レベルの超高気密・高断熱基準、ドイツ認定の「パッシブハウス」、その北陸エリアで初の建物の施工を担当したのが私たちの会社だからです。
全国で12例目、北陸エリアでは初のパッシブハウス認定となった「前沢パッシブハウス」(富山県黒部市/発注者:YKK不動産株式会社/設計:キーアーキテクツ/施工:株式会社カネタ建設/竣工:2015年11月)
日本でも少しずつ認知され始めている「パッシブハウス」とは、ドイツの物理学者ウォルフガング・ファイスト博士が発案し、1991年にパッシブハウス研究所(ファイスト博士が創設)で確立された省エネ基準。「年間の冷暖房負荷」※1 「気密性能」※2 「住宅全体の一次エネルギー消費量」※3 の3つの項目で一定の基準※4を満たすと認定されますが、日本でもまだ15例ほどしか実績がありません。それだけ、設計・施工に関して相当の技術レベルを要求されるため、誰でも簡単に取り組めるという建物ではありません。まさに、住宅業界の「F1」のような存在なのです。
実は、私たちキノイエを運営するカネタ建設は、全国で12例目、北陸エリアでは初のパッシブハウス認定となった「前沢パッシブハウス」(富山県黒部市)の施工を任され、昨年11月に完成を迎えました。ちなみに、前沢パッシブハウスの性能値は以下のようになります。
Q値:0.86W/㎡K /UA値:0.19W/㎡K /C値:0.1㎠/㎡ /年間暖房負荷:15kWh/㎡・年
今月発売された住宅業界の全国誌『日経ホームビルダー(8月号)』に、そのパッシブハウスの施工事例「前沢パッシブハウス」の記事が大きく取り上げられています。発注者は、YKK不動産株式会社、設計は、一般社団法人パッシブハウス・ジャパンの代表理事を務める森みわ氏(キーアーキテクツ代表)。そして、施工は、キノイエを運営する弊社カネタ建設。今、業界で非常に注目を集めている建物の施工を成功させたことで、私たちの建築技術レベルに関する信用度は非常に高いというお墨付きをいただく形となりました。
私たちキノイエスタッフは、この上越地域の住宅会社でいちばん最初に一般社団法人パッシブハウスジャパンが認定する「省エネ建築診断士」の資格を取得し、パッシブハウスの研究に力を注いできました。住宅業界の「F1」ともいわれる、今回のドイツ認定パッシブハウスの施工ノウハウが、現在のキノイエの基本性能に生かされていることはいうまでもありません。
前沢パッシブハウスの設計者であるキーアーキテクツ代表森みわさん(写真中央)とスタッフの皆さん(写真右から2人目、3人目)そして、カネタ建設のスタッフたち
※1 冷暖房負荷
室内の快適な温湿度を保つため、冷房・暖房で必要とするエネルギー量。
※2 気密性能
密閉により、空気の流れや熱・水蒸気などの出入りを妨げる性能。
※3 一次エネルギー消費量
電気やガスなど、住宅で消費するエネルギーを作り出すために必要なエネルギー(石油・石炭)を熱量で表したもの。
※4 パッシブハウス基準
「冷暖房負荷が各15kWh/m2以下であること」「気密性能として50Paの加圧時の漏気回数が0.6回以下であること」「一次エネルギー消費量(家電も含む)が120kWh/m2以下であること」の3つをクリアすることで認定される。
【パッシブハウスについての詳しい情報はこちら】一般社団法人パッシブハウス・ジャパン公式HP「パッシブハウスとは?」
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