自然の恵みを設計に~「パッシブデザイン」入門編
July 2, 2016
みなさん、「パッシブデザイン」あるいは「パッシブ設計」、「パッシブハウス」という言葉を耳にしたことはありますか?最近、建築業界ではもう流行語のようになっていて、今や、どんな住宅会社でも、「パッシブ」という言葉を多用するようになりました。そのため、誤解も多く生まれるようになりました。いずれにしても、これから住まいづくりを考える皆さんにとって、とても重要なキーワードになることは間違いありません。
そこで、本日は、この「パッシブ」という言葉について、正しい理解をしていただくため、誰でも分かる入門の入門編・・・になるような、分かりやすい具体例を用いて話をしてみたいと思います。
写真は、キノイエ上越モデルハウス「塩屋新田の家」の南側デッキ部分を6月8日正午に撮影したものです。2階の屋根の軒の影がちょうど1階南のサッシのラインより手前に落ちているのがお分かりでしょうか?ちなみに、そのもう少し先の6月21日は夏至です。その日の写真はありませんが、ほぼ今のラインと同じくらいです。つまり、真夏のいちばん日差しが厳しい時期に、サッシの内側には太陽光が入らないように軒の長さが設計されているのがキノイエの住まいです。反対に、真冬は太陽の位置がぐんと下がります。そのため、南の大きな窓を通してリビングの中に温かな陽射しが入り込むように工夫されています。
この塩屋新田の家も、軒の長さは、水上側(北側)、水下側(南側)、そしてけらば(東西方向)とそれぞれに固有の寸法が計算されています。単なる見た目のデザインの良し悪しではなく、一年間の日射角度を計算して設計されています。
ちなみに、塩屋新田の家の南側の庭には、モミジとセイヨウカマツカと呼ばれる2種類の落葉樹が植えられております。成長すると、隣地の視界を遮るとともに、夏は厳しい日射を緩和してくれます。冬になると葉はすべて落ち、貴重な太陽の光と熱を室内に届けてくれます。
「パッシブ」とは、和訳すると「受動的」という意味で、「能動的」を意味する「アクティブ」という言葉の対義語になります。つまり、「パッシブデザイン」、「パッシブ設計」とは、なるべく冷暖房機器の過剰な運転に頼らず、太陽の光や熱、そして風といった「自然エネルギー」をそのまま受動的に利用して、住まいと地球に負荷をかけない快適な暮らしを実現しようとする設計思想のことを言います。 太陽の光と熱、そして自然の風は¥0(タダ)です。自然の光や風を上手に活用して冬は暖かく、夏は涼しい住まいを実現することで、電気やガスなどへの依存率が減少し、省エネでありながら快適で健康的な暮らしが実現することができます。
軒の長い家。縁側があり、庭には落葉樹・・・実は、昔の日本の暮らしは、こうした考え方に基づいた家づくりを当たり前のように実践していました。夏は蒸し暑く、冬は寒い。その四季の厳しさを先人の様々な知恵と工夫で乗り越えてきました。しかし、高度経済成長の過程で、製品開発競争が起こり、私たちの暮らしの中に様々な機械器具が取り入れられると、電力・石油・ガスなどの需要がどんどん上がっていき、エネルギーの消費量、依存度が極めて高い国へと変貌していきました。今や世界レベルの問題となっている地球温暖化。日本はCo2の削減に対し、非常に高い削減目標を課せられています。達成のためには、日本のエネルギー消費の14%以上を占めている家庭用のエネルギー消費を抑えることが急務となっています。ちなみに、家庭用のエネルギー消費は、個人消費や世帯数の伸びにつれて大きく増加しており、1973年度を100とすると、2011年度は208.9と2倍以上に増加しています。(資源エネルギー庁「エネルギー白書2013」より)
パッシブデザインのこと、少しだけお分かりいただけましたでしょうか?パッシブ設計には、この他にも高い窓性能や断熱性能、気密性への適合や熱交換換気への対応など、クリアすべきいくつかの技術的なハードルがあります。私たちキノイエスタッフは、この上越地域の住宅会社でいちばん最初に一般社団法人パッシブハウスジャパンが認定する「省エネ建築診断士」の資格を取得し、パッシブハウスの研究に力を注いできました。
上越エリアでいち早く省エネ建築診断士の資格を取得したキノイエスタッフたち
省エネ先進国ドイツの厳しい基準をクリアし、日本国内で12番目に認定されたパッシブハウス「前沢パッシブハウス(富山県黒部市)」の施工を弊社で担当しました。(発注者:YKK不動産株式会社/設計:キーアーキテクツ/竣工:2015年11月)
パッシブ設計のさらに詳しいお話につきましては、今後少しずつこのブログでご紹介していきたいと思います。
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キノイエの母体
July 1, 2016
キノイエは、今年生まれたばかりの新しい住宅ブランドです。新しい会社ができては消えていく、変化の激しい時代の中、初物をなかなか信用できる人はいません。ですので、私たちの家づくりについて、共感していただき、信用をいただくまでには、まだ少し時間がかかるのかもしれません。
そこで、本日は、私たちの母体となっている「株式会社カネタ建設」という会社の歴史について少しお話しをさせてください。
カネタ建設の創業は、昭和8年に遡ります。旧糸魚川町三反田(現在の糸魚川市中央)、辺り一帯が広大な田園地帯であった時代の昭和8年3月に小さな会社が産声をあげました。創業のきっかけは、その前年の昭和7年12月、糸魚川町の中心部の住宅368棟を焼失させた大火に端を発します。
その当時、創業者である猪又匤(タダシ)は、生計を立てるため、大阪の製材所で丁稚奉公(でっちぼうこう)をしていました。自分の故郷の大火の一報を耳にした匤はすぐさま帰省を決め、当時力士として活躍していた兄宏と共に地元の住宅復興のために立ち上がったのが、現在のカネタ建設の前身である「カネタ猪又製材所」の始まりでした。その後、匤と同じく製材所の丁稚奉公を経験した弟の米吉も加わり、3兄弟が協力し合い、寝食を忘れて仕事に没頭しました。
ちなみに、「カネタ」という名前の由来は、大工道具の曲尺(かねじゃく)に自身の名前である「タダシ」の「タ」の字を入れたものです。当時から、地元の糸魚川には「猪又」の姓が多く、会社の名前として判別がつきやすいようにと付けたのが理由のようです。加えて、当時社名にカタカナ文字を入れるというのは非常に斬新であり、当時でいう「ハイカラ」なネーミングでした。偶然ですが、現在の「キノイエ」というネーミングの発想もこうしたDNAが継承されているのかもしれません。
当時の仕事はとても過酷でした。仕事の大半は全て人力。雨の日は蓑を被りながら山から切り出した丸太を全身で抱えながら運んでいたそうです。リアカーに始まり、それが次第に木炭車、そしてオート三輪へと進化していきました。やがて、小さな製材所は「カネタ猪又材木店」と名前を変え、少しずつ商いを広げていきました。それまでは、地元の大工職人に原材料としての杉材を卸すのが主な仕事でありましたが、後に大工職人と共に住宅づくりを始めるような仕事のスタイルに変容していきました。当時は、代表者の匤の自宅に大工職人が何人も寝泊まりし、同じ釜の飯を食べながら家づくりの技術を向上させていきました。
現在のカネタ建設は、建築・土木事業を中核に不動産・訪問介護・家政婦紹介・介護タクシー・福祉用具レンタル販売事業、予防介護事業を含め、住生活に関する地域の皆様のあらゆるご相談にお応えする、この地域で唯一の「住生活ワンストップ企業」を目指し、進化を続けています。
皆様に愛され続け、おかげさまで今年で創業83年を迎えました。長い歴史の中で数えきれないほどの人のご縁とお客様に支えられ、この地域で発展を続けることができました。
キノイエはまだ産声を上げたばかりのブランドですが、その背景にある家づくりの原点に、この地元で生まれ育ち、木を扱い続けてきた人々の手と心が息づいていることを感じとっていただければ幸いです。
毎年8月にカネタ建設が開催している感謝祭「オレンジフェア」は毎年3,000人が訪れるモンスターイベントに成長しています。(今年は8月11日(祝)に糸魚川市民会館前特設広場で開催します)
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メンテナンスの不安
June 30, 2016
キノイエの上越モデルハウス「塩屋新田の家」では、外壁に西洋漆喰と、地元糸魚川産の杉板を採用しています。
24時間365日、何十年と風雨にさらされるのが外壁です。メンテナンスフリーという仕上げ材はありません。まず、塗り壁と聞くと、材料も高価で施工費用が高い上に、メンテナンスにも手間がかかって簡単には手が出せないとお考えの方も多いと思います。
実際、やはりメンテナンスは必要となります。ですが、ここでもう少し掘り下げて考えてみましょう。現在、住宅業界で広く一般的に採用されている外壁材に、セメント質と繊維質を主な原料にして様々なパターンで板状に成形された「窯業系サイディング」と呼ばれる外壁材がありますが、こちらもメンテナンスは必要です。目地材のコーキング材については、日照、立地条件等にもよりますが、7年~10年の間に硬化によるひび割れや切れ、剥離などの劣化が始まり、ほうっておくと、雨水等の浸水の原因になります。また、外壁本体も現場で住宅に合わせてカットした切断面から吸水したことによる劣化、またはサイディングボードの表面の劣化によって吸水してしまい、ボードに反りが生じるなどリフォームが必要になってくるケースも少なくありません。私たちの経験上、この地域での施工経験上、15~20年でメンテナンスが必要になるのではないかと予測できます。
その場合、表面の塗装、ひどい場合は、貼り替えが必要になります。塗り壁は、既存の外壁を洗浄し、その上から塗ります。メンテナンス方法として、「貼り替える」と「上塗り」する・・・当然、費用は後者の方が安価に抑えられるケースが多くなります。
また、木の外壁も、メンテナンスは塗り替えとなります。しかも、3~5年くらいの短期です。ですが、費用は安価。一般的に、しっかりメンテナンスをしていれば、一番長持ちする外壁材だとも言われています。ですので、キノイエで使用する杉板の外壁材はメンテナンスのしやすい低い所に施工しています。20年、30年、場合によっては50年と住み続ける家です。大きなスパンで、大きな費用を数回かけるか、コンスタントに小さな費用で長持ちさせるか・・・いずれかの選択となると思います。
キノイエは、何十年経っても飽きのこない普遍的なデザインであると同時に、小さな費用で少しずつメンテナンスをしながら大切に長持ちさせる素材を厳選し、「永く住み続ける」ことを念頭においたつくりを心がけています。
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最高の地元ライフ
June 29, 2016
キノイエの住まいには2つのキーコンセプトがあります。
一つは、「どんな住まいを追求するのか?」を定義する「小さな邸宅」というコンセプト。そして、もう一つは、「どんな暮らしを追求するのか?」を定義する「最高の地元ライフ」というコンセプト。
今回は後者の「最高の地元ライフ」について少しお話ししてみたいと思います。
私たちは、ここ、新潟県の上越地域で生まれ育ちました。スタッフの中には、生まれてからずっとこの地で暮らしてきた者もいれば、一度この地域を離れ、都会や地方へ移り住み、学生時代や社会人生活を送ってきた者もいます。
そして、縁あって今、この地で家づくりの仕事に携わっています。そして、みんな家づくりが大好きで集まってきた仲間たちです。生まれ育ったまちで、家族や幼なじみ、親しい仲間たちに囲まれ、海山の自然と味覚にも恵まれた唯一無二の暮らし・・・そして、私たちはこの地で住まいを建てさせていただいたお客様と共に人生を重ね、一緒に歳を重ねていきます。もしかすると、同じ学校の保護者としてのつながりがあったり、遠い親戚のつながりがあったりするかもしれません。そこには、単にお客様とつくり手の関係だけ、単なる時間の流れだけでは語ることのできない、この「地元」での深い人間関係が形成されていきます。よく、「田舎暮らしは人間関係が面倒」という言葉も耳にしますが、よく考えてみると、人生においてこれほど充実した、幸せな暮らし方はないのかもしれません。
だから私たちは、この地域で生まれ育った者こそがやるべき家づくりと、その前提となる理想の「暮らし」はこうあるべきではないかと考えました。
1.もっと地元(ココ)が好きになる暮らし
自分らしさを持ち、人間関係にも恵まれながら、生まれ育った地元での豊かな暮らしを追い求めること
2.家族がもっと好きになる暮らし
家族との時間が何よりも幸せに感じられるような暮らしを追い求めること
3.この家が誇りに思える暮らし
そのたたずまいから周囲の憧れになる家を持ち、その生き方と共に人に誇れる暮らしを追い求めること
私たちが目指す理想の家づくり、それは、都会や他の地方ではない、生まれ育ったこのふるさとでの「地元ライフ」が最高に幸せだと感じられる暮らしを住まいという手段で実現することです。住まいは単に「建てること」が目的ではなく、ご家族にとって最高の人生を送るにふさわしい「暮らし」を実現すること。私たちは、常に最良の性能、価格、デザインを追求しながらも、けして「商品」を主張する家づくりではなく、この地域で暮らすご家族お一人おひとりの「らしさ」を追求し、そこに暮らす人たちが幸せになれる・・・そんなことを地元(ココ)で一緒に人生を歩みながらお手伝いできる、唯一無二の住宅会社でありたいと考えました。
これが、「最高の地元ライフ」という言葉に込められた私たちの思いです。
様々なきっかけであたらしい住まいについて考えはじめたみなさん、私たちと一緒に、「最高の地元ライフ」を追い求めてみませんか。
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私たちがやらないこと
June 28, 2016
設計は会社の命でもあり、コストも伴います。設計は建築士が相当の時間を要して真剣勝負で行うことで、いいプランが生まれます。なので、「いくつもの会社のプランを見比べて判断したい」というお客様のご依頼には残念ながらお応えできません。もし、仮に3組のお客様の設計を行い、縁あってご成約に辿り着いたお客様が1組であったとすると、残り2件の設計料は、全てご成約に至ったその1組のお客様に負担がかかることになります。だからこそ、建主様の利益を守るため、私たちの理念、設計思想に共感していただき、本申込をいただいた方に全力で設計しようと考えました。
ソトを上手に取り込み、小さくつくって大きく暮らす。それが、賢い家づくり。コンパクト設計が肝です。以前のブログ記事「引き算」する設計でもお話しさせていただきましたように、単なる間取りの足し算で、結果として住みづらい家をつくってはいけないと肝に銘じています。敷地全体を家と考え、切れ目のない、心地よい「場」を展開する設計術を最大の価値と考え、引き算する設計に磨きをかけています。
「お洒落」の定義も「落ち着き」の基準もそれは人それぞです。なので、同業他社や業界関係者を批判する気持ちは毛頭ありません。あくまでも私たちが理想と考える設計思想です。シンプルに表現するとすれば、派手なデザインではなく資産価値のあるデザイン。「永く住み続ける」ことを念頭に置くからこそ、お施主様がその後歳を重ねていくことにまで思いを巡らせ、生活感・暮らしやすさを重視した設計・デザインに徹する・・・「落ち着き」とは、そんな思想から生まれてくるものであると信じています。
私たち住宅業界が最も陥りやすい落とし穴であると考えています。住宅建築もビジネスです。ですから生産性と効率を求めることは当然のことです。しかし、家づくりという仕事の本質は見失ってはいけません。暮らしが見えない家は後悔の元。だから巧みなセールストークで、型にはめる規格住宅は売りません。
キノイエの家は唯一無二です。見積比較の上で簡単に値引きできるような価格をお客様に提示したりはいたしません。その「駆け引き」そのものも営業コストと考えれば、これほどお客様に失礼なことはありません。徹底したコスト管理の元、当社に決めていただいた方だけに全力でベストプライスをご提示させていただきます。
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たくさんのご来場ありがとうございました(糸魚川 平牛の家 完成見学会)
June 27, 2016
6/25(土)・26(日)の2日間、糸魚川市内で開催されました「平牛の家」完成見学会、途中一時的に入場制限がかかるほど、本当にたくさんのお客様にご来場いただきました。貴重なお時間をキノイエの見学のために割いていただいたご来場の全ての皆様に、スタッフ一同心より厚く御礼申し上げます。
ご来場いただいた多くのお客様からは、「木のぬくもりがとても気持ちいい」、「コンパクトなのにとても広がりを感じる(面積以上に広く感じる)」、「エアコン1台で家じゅう快適に過ごせるのは魅力」、「離れのスペースがいい!我が家にも取り入れたい」等、小さくつくって大きく暮らすキノイエの考え方に共感していただけたようで、スタッフとしても本当にうれしい限りです。
また、開催期間中、お施主様のお友だちもたくさんお越しいただき、会場内のあちらこちらで親しい仲間たちの和やかな会話が飛び交っていました。実はこの平牛の家のお隣2軒のお住まいも、キノイエを運営する母体のカネタ建設で建てられた住まい。見学会最中、様子を見に来られたお施主様と、ちょうど休日でお子様たちと家の前で遊んでいたお隣のOBお施主様ご家族との間でも早速交流が始まり、まだご入居前の住まいですが、なんとなく、お施主様の日常の暮らしの一端が垣間見られるような、素敵な時間が流れていました。
そして、糸魚川での見学会開催期間中、上越モデルハウス「塩屋新田の家」にも何組ものお客様にご来場いただきました。合わせてご来場の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
来週末からは、キノイエの住まいづくり、土地さがし、資金計画、エコで健康な家づくりなど各種テーマでセミナーを開催します。キノイエのことをもっとよく知りたい、住まいづくりについて勉強したい、土地を探したい等々、ご興味のある方はぜひ私たちにお声がけください。
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永く住み続ける
June 26, 2016
大きな投資によって手に入れる住まい。だから、その投資に見合う住まいでなければなりませんが、暮らし方も判断基準も住まい手それぞれに異なります。とても難しいテーマですね。
でも、今回はあえてその点について少し触れてみたいと思います。
投資に見合った住まいであるかどうかの物差しの一つに「満足度」があります。デザイン、間取り、性能、価格・・・いくつかの要素を総合して判断されるお施主様の心理的な満足度はとても分かりやすい指標です。住まいが完成した時、「思い通りの家ができた!」、いや「思った以上の家になった!」とお施主様が純粋に感じられた時、いい買い物ができたということになるのかもしれません。
ですが、そこに「時間」という要素を加えて考えてみるとどうでしょう?5年後、10年後、20年後・・・その時々に、お施主様の思いがどう変化していくのか?むしろ完成した瞬間よりも、その後長く長く続くご家族の人生に常に寄り添う住まいを通じて、お施主様の心の内から「この家を建てて本当に良かった」と感動が舞い戻ってくるような瞬間が何度もある・・・つまり、投資に見合った住まいであるかどうかは、建てた時から高い満足度を持続、あるいは時が経つほどに高まっていく、本当の意味で「永く住み続けられる」住まいであるかどうかということではないでしょうか。
そのために、作り手がやるべきこと、守るべきことはたくさんあります。
いつまでも飽きのこない普遍的な美しいデザインを提供すること。経年変化を味わいとして感じられる本物の素材を厳選すること。ご家族のライフスタイルの変化にも柔軟で価値の下がらない空間であること。お客様と私たちの人間関係が良好であり続け、深まっていくこと。そして、お施主様の住まいを何世代にも渡り見守り続けられるように、いかなる経済環境の変化にもびくともしない経営で会社が存続し続けること。私たちは、様々な角度から本当の意味で「永く住み続けられる」家づくりを追求していきたいと思います。
今後このブログで、一つひとつ紐解きながらお話していきたいと思います。
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「引き算」する設計
June 25, 2016
日本の住宅は、世界の先進地域からみればまだまだ発展途上ではあるものの、技術・性能共にそれなりに進化の道を歩んできました。今やどの住宅会社のチラシを見ても「高気密・高断熱」「耐震」「ゼロ・エネルギー・ハウス」などなど、技術の進歩が生み出す性能についてたくさんのことが語られています。それはそれで悪いことではないのだと思います。一昔前は「欠陥住宅」に出会わないことが重要なテーマでしたから、その違いは歴然です。
では、「暮らしやすさ」についての進化はどうでしょう?家の性能は上がって、私たちの暮らしはどう進化したのでしょう?今回は、そんなことについて考えてみたいと思います。
その前に、そもそも、「暮らしやすい家」とは何なのでしょう?それは、その家の中に快適で居心地のいい「場」がどれだけあるのか?ということに大いに関係がありそうです。
これまで多くの住宅会社が行ってきている家づくりの進め方、それは、まずご家族の要望をお聞きして「間取り」にまとめることから始めます。お客様にとっては、夢がふくらむとても楽しい瞬間でもあります。ところが、その反面、様々なよくない現象が起こります。これはよく聞くケースですが、営業やプランナーが御用聞きのようにお客様の意見をどんどん聞いてプランをしていくと、部屋どうしの連なりに欠け、小部屋ばかりが多くなり、結果として家のサイズも随分と大きくなってしまった。それなのに、家族の生活が変化するとほとんど使われず、物置と化す部屋ができたり、家の中に寒い場所と暑い場所の差が発生したり、家族の気配が途切れたり・・・実は家づくりでいちばん大切な「居心地の良い場」の創造が、単なる間取りの足し算に終始してしまっていたりして、何とも住みづらい結果を招くケースも少なくありません。それではいけないと、今度は反対に、最初から決められた「売れ筋の」間取りパターンに「生活を合わせる」という家づくりも増えていったように思います。
その点で言えば、まるで進化とはいいがたい、いや、むしろ後退ともいえる現象が家づくりの現場で起こってしまっているように感じます。なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょう?最大の原因、それは「暮らしやすさ」のため、ちゃんと「引き算する設計」ができていないからです。実は足し算よりも引き算することの方がとても難しい芸当なのです。
キノイエでは、敷地全体を家と考え、切れ目のない、心地よい「場」を展開する設計術を最大の価値と考え、引き算する設計に磨きをかけてきました。家の前を通る人の目、そこに住む人が、景観を楽しむための視線、健康で、なおかつ暮らしを充実させるための工夫・・・そこにこだわり、その家での暮らし方にフォーカスしていきます。平面プランは、敷地図に家の形を配置するところから始めます。 ベース(母屋)とゲヤ(下屋)、どこに窓があると気持ちいいか(視線や風)、道路とのつながり、庭とのつながり、太陽との関係、隣家との間隔などなど…そういった、居心地と快適さに関わる重要な要素を一つずつ検討していきながら、空間の全体像を決めていきます。「○○部屋を○畳」という足し算設計はしません。また「南側玄関○○坪プラン」と言ったような、形の決まった「規格型住宅」の手法もとりません。スケルトン(構造)は、概ね標準化をしていますが、インフィル(内部)は自由。その土地・暮らし方に合わせ提案する「暮らし提案型住宅」なのです。
ベースとゲヤの内部のレイアウトは、そうした「下ごしらえ」をきちんと行った後につくられますので、プランの根拠に迷いと矛盾がありません。素材は、私たちが厳選した素材を提案・標準化していますので、コストが安定しています。だから、結果としてコンパクトでハイクオリティ、かつコストバランスの良い住まいが生まれるのです。
これが「小さな邸宅」の考え方の原点です。キノイエのこうした家づくりの考え方に共感していただける方に、ぜひ一度、足を運んでいただき、居心地のよい空間を直接五感で感じとっていただければ幸いです。
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+αの別世界「離れ」
June 24, 2016
上越モデルハウス「塩屋新田の家」には、母屋(ベース)から下屋(ゲヤ)を通ってつながる「離れ」スペースがあります。
塩屋新田の家には、美しい外観シェイプ、糸魚川産杉のファサードなど、ご来場いただいた多くのお客様が‟唸る”ポイントがいくつかあるのですが、この「離れ」もその一つ。このスペースに足を踏み入れた途端、かなり高い確率で「うわぁ!いいなぁ!」という歓声が上がります。特に男性の方はほぼ100%といってもいいくらい(笑)弊社の男性スタッフにも大人気の場所です。
このスペースの使い勝手は変幻自在。趣味部屋としてアウトドア用品、DIY、バイク関連、その他クラフト系などなど、離れだからこそ集中し、楽しめる空間が実現できます。しかも、中土間~ウッドデッキ~カーポートに隣接し、ナカとソトをつなぐハブのような位置づけの存在なので、3坪弱の小さなスペースにも関わらず、想像以上に利便性が高く、あらゆる使用シーンに絶大な威力を発揮します。
・・・ですが、写真ではその魅力の何分の一もお伝えすることができないのが残念です。なので、ぜひ一度、遊びに来ませんか?
なお、明日6/25(土)・明後日26(日)に、糸魚川市内で開催される完成見学会「平牛の家」にもこの「離れ」スペースが設置されてあります。こちらでは、実際にお施主様が愛用している自慢の釣り道具を所狭しと並べてあります。こちらにもぜひご来場ください。
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シンプルで機能的~キノイエ・オリジナルソファ
June 23, 2016
キノイエのオリジナル・ソファ。
建築家の趙 海光(ちょう・うみひこ)氏による設計で、キノイエの素朴で飽きのこない暮らしにぴったりのデザインです。主張し過ぎず、でもこのリビングにはなくてはならない、しっかりとした存在感。このオレンジイエローのチョイスは絶妙です。
ちなみに、ファブリック(生地)の部分はリバコトレーディング社のNCシリーズというものを使用しています。ウールが含まれるその張り地はコストパフォーマンスに優れ、視覚的な質感の良さと合わせ非常にバランスのいい生地です。地元上越市内のファブリック店さんとじっくり話し合い、丁寧に縫製していただきました。
この他にも、キノイエには一つひとつ丁寧に考え抜かれたアイテムがまだまだたくさん存在しています。このブログで少しずつご紹介していきたいと思います。
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