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光のたまり


September 23, 2017

|光のたまり|ソトとナカをつなぐ暮らし|上越・糸魚川・妙高で建てる木の家|注文住宅工務店|新築・リフォーム|キノイエ|

September 23, 2017

「夜は夜の、暗めで落ち着いた時間があっていい。夜には昼と同じことができない方がいい。どうしても暗くては困る場合だけ、家のどこかに明るい場所をつくりそこに行ってすればいい」

 

 

これは、吉村順三氏の木造モダニズムを受け継ぐ建築家、故・永田昌民氏の言葉です。永田氏の設計する住まいにはどれも「光のたまり」があり、空間の美しさと共に暮らし方に奥ゆかしさを感じさせる何かがあります。

 

 

永田氏は、「あかりを効果的に使い、楽しむという文化が成熟しないままモノだけを手に入れてしまったのではないだろうか」とも語っています。現在、世の中には様々な先鋭的なデザインの照明器具が氾濫していますが、永田氏が設計で用いている照明器具は、けっして高価なものではなく、とてもシンプルでさりげないものばかり。大切なのは、照明器具ではなく「あかり」であるという本質を見つめていたからなのでしょう。

 

 

私たちの手掛けるキノイエの住まいづくりにも、この設計思想をとても大切にしています。

 

 

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昼と夜、あるいは晴天と曇天の時で大きく変わるその空間の表情、その良し悪しを決めるのは「あかり」です。とくに小さな家の照明設計の際、照明器具自体に存在感があり過ぎると、部屋の雰囲気が台無しになってしまうことがあるので注意が必要です。ここでも「引き算する設計」の思想が重要になってくるのです。

 

 

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おうちキャンプ

 

 

同時に、その家のあかりは、道往く人にとっても楽しめるものであったり、家族やお客様をあたたかく迎え入れる存在であるべきだと思います。光のたまりを自在に操る設計を貫いてきた故・永田昌民氏に深い敬意を込めて・・・

 

 

 

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家族のタイムテーブル


June 21, 2017

June 21, 2017

住宅建築業界の中で、現在5万部を超える人気の書籍となっている『住まいの解剖図鑑』。もともとは住宅設計を学ぶ建築系の学生向けに書き始められたものが、設計実務を始めたプロ向けの基本を学ぶコンテンツとして進化、さらには、「もしかすると、これから自宅を建てようとする一般の人にも、最低限身これくらいの知識は身につけてもらってもいいのでは?」との思いから加筆修正が加えられて生まれたのが本書です。

 

 

 

 

そのため、本当にいい家を建てたいと考えている方の中で、非常に敏感な方は既にこの書を手にしているかもしれません。これを読めば、家づくりで本来見失ってはいけない非常にコアな部分に触れることができ、コンビニ化した住宅業界のパッケージ住宅を買うことが、いかに勿体ない買い物であるかということに気付かされます。あるいは反対に、「中途半端なプロ」が陥りやすい「過剰設計」の落とし穴についても厳しく指摘しているバランスの取れた指南書です。私たちから見ても非常にユーザー目線で書かれた良書だといえます。

 

 

著者は、住宅設計の第一人者である故吉村順三氏の下で9年間学んだ建築家の増田奏(ますだ すすむ)氏。「家族が日々の暮らしを営み、生命を育む「住まい」に何より大切なのはその場所が「心地よい空間」であること。」と提唱する氏の著書の中には、実は、私たちキノイエが大切にしている住まいの要諦をほとんど網羅しており、私たちにとっても非常にわかりやすい住宅づくりの教科書といっても過言ではありません。

 

 

特に、「心地よい家のプランは「引き算」でつくる」という増田氏の設計理念は、キノイエの「小さくつくって大きく暮らす」「引き算の設計」そのもの。本日は、そんな増田氏の著書の中から、独自の視点で書かれた、とても参考になる項目を一つご紹介したいと思います。

 

 

その名も「家族のタイムテーブル」

 

 

著書の中で、増田氏はこう述べています。(以下は、ウェブ上でオープンになっている増田氏の文書を引用させていただいています)

 

 

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私は必ずご家族のタイムテーブルを書いてもらっている。家を建てる時点での家族構成や年齢にぴったり合うようにつくり込んでしまうと、早ければ5年で住みにくい家になってしまうことさえある。人間は必ず年をとるものだからだ。

 

 

 

 

そこで私がお勧めしているのは「割り算」。すなわち子どもの成長、あるいは両親との同居の可能性などもあらかじめ想定して間取りの可変性を確保しておこうというものだ。

 

 

例えば部屋にはドアを2つ付けておく。子ども部屋なら小さいうちは2人で1つの部屋でいいが、自立心を持ち始めたり、受験の時期が来たら間仕切って個室2つに分けられるようにしておく。子どもたちが成長して巣立った後は、もとの1部屋に戻してもいいし、別の空間として利用することを考えてもいい。部屋に出入り口が2つあると可変性はもちろん、住まいの動線に回遊性が生まれ、格段に住みやすくなる。

 

 

可変性の確保や間取りをルーズに考えるという発想は、そもそも日本の伝統的な住まい方だ。今でこそ日本の家もダイニングやリビング、寝室など、空間の用途によってプランニングされるようになったが、かつては6畳間、8畳間など、空間の広さだけが認識され、部屋名などなかった。昼間は卓袱台を出して家族でご飯を食べ、近所の人がやってきて一緒にお茶を飲み、学校から帰ってきた子どもが宿題をする空間で、夜になると布団を敷いて寝ていたのだ。

 

 

こうした暮らし方は、今でもそれとなく伝承されている。例えば小学生ぐらいまでの子どもは自分の部屋ではなく、両親と一緒に、いわゆる川の字になって寝ているケースが多いだろう。欧米の住宅では考えられないことだが、この柔軟で臨機応変な住まい方こそ日本の住宅の特長だ。

 

 

家づくりでは、建築家やハウスメーカーなどの専門家の提示するさまざまなプランを検討する中で、自分たちがどのように新しい家で暮らしていくのかがだんだんと整理されてくる。その過程で大切なのは、専門家や知人が勧めるからなどと人まかせにするのではなく、最後は自分たち家族でこのプランにすると「決心」することなのだ。

 

 

車なら実際にいろいろな車に試乗し、比較検討した上で決められるが、家の場合は、いろいろな家に同時に住んでみて実際の住み心地を比較検討して決めることなどできないからだ。自分たちで決めたのだということで、この家でこんな暮らし方をしていくとの覚悟もできる。かくして、わが家はまぎれもなく自分たち家族にとってかけがえのない最も心地よい空間になっていくのではないだろうか。

 

 

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いかがでしょう。家づくりは、一生に一度と考えたとき、相手が「住宅のプロ」だと過信し、自分たちの思考を止めて全てを委ねてしまうことは、いずれ大きな後悔につながります。こうした視点を持つことで、皆様にとって本物に相性の良い家づくりパートナーを見分けることができるのではないでしょうか。

 

 

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壁を残す


January 16, 2017

|上越市・妙高市・糸魚川市の工務店|注文住宅|木の家づくりハウスメーカー|キノイエ|

January 16, 2017

ムダがない小さな邸宅は、あらゆる面でエコであり、かつ住まう人に与えるストレスもミニマムになります。小さいことが窮屈につながるのでは?という心配が出るのは当然のことですが、小さいことが必ずしも窮屈に直結するとは限りません。むしろ、大きいことで生じるモノの散乱、探す時間、間延びした居場所、温まりにくい容積とエネルギーロスなど、空間がムダに大きいことがかえってストレスの増大を生むことはよくあります。

 

 

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キノイエでは、「引き算の設計」に重きをおいています。目指すのは「小さくつくって大きく暮らす」心の充足度が高まる家づくり。もちろん、大きさは人と比べることではありませんが、誰よりも充実度・幸福度の高い家を限られた予算の中で実現することが、いい家の条件であると私たちは考えています。小さいことで得られる上質感とまとまり、ほんの少しだけ他とは一線を画す付加価値の高い家を実現することが私たちの仕事です。

 

 

ベースとゲヤ|上越市・妙高市・糸魚川市の工務店|注文住宅|木の家づくりハウスメーカー|キノイエ|

 

 

キノイエでは、そのための様々な仕掛けを設計の不文律の中にちりばめています。その一つが、「ソトとナカをつなぐ」設計。まずはその敷地の性格を読み取り、かつ隣地との関係性を見極めます。その上で、季節毎に現れるいちばん美しいソトの景色を、どう切り取ってナカに取り込むかを考えながら窓の位置や大きさ、その数を徹底的に吟味して設計に反映していきます。

 

 

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実は、ここでも、引き算の思想を大切にします。多くの住宅会社が陥ってしまう間取りの失敗は、「明るい家」に目が行き過ぎて、南面にできる限り窓を取り付けるという失敗です。そうすることによって、見たくない景色(道路の歩行者の目、隣の家、さらには数軒離れた近隣の家の視線など)までもを取り込んでしまい、居間やダイニングに必要な安らぎを失ってしまうことが往々にして起こります。(もちろん、サッシの数が増えることで、単純にコストアップと同時に熱損失のリスクも上がり、建物燃費にも影響が出ます。)

 

 

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心地よい暮らしを演出する設計の要素には、「壁」という大切なアイテムがあります。ソトとナカをつなぐ設計とは、「ひらく」ことばかりではなく、「とじる」ことも重要な要素です。ソトの景色や光を取り込む窓の位置や大きさなどが決まれば、それ以外の空間で大胆に壁を残すことで、よりソトとナカのつながりを意識することにつながります。

 

 

言い換えれば、家の中に「暗」があるからこそ「明」を愉しむ妙味が生まれるのです。

 

 

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色の引き算


November 30, 2016

|キノイエ|新潟県上越市・妙高市・糸魚川市の注文住宅|木の家づくり工務店|

November 30, 2016

キノイエの佇まいの基本は、「引き算する設計」。コンパクトでありながら、機能性と暮らしやすさを追い求め、小さくした分だけ少し上質な本物素材(+温熱性能)を選ぶことで、長く飽きのこない普遍的なデザインの住まいを実現することができます。

 

 

そして、それは使用する色の考え方もまた同じ。引き算の思想で組み立てられています。

 

 

|キノイエ|新潟県上越市・妙高市・糸魚川市の注文住宅|木の家づくり工務店|

 

 

珪藻土を使用し上質さのある胡粉色(ごふんいろ)の壁、経年で少しずつ表情を変える天然無垢の杉の生色を中心にしたシンプルな構成。強いて言えば、塩屋新田の家では玄関土間に大谷石を使用しており、日本の色でいうところの浅葱鼠(あさぎねず)や千草鼠(ちぐさねず)といったような淡い青緑がかった色がさりげないアクセントとして調和しているくらいで、後はほとんど色を入れないというのがスタンダードな考え方です。

 

 

大谷石の土間|キノイエ|新潟県上越市・妙高市・糸魚川市の注文住宅|木の家づくり工務店|

 

 

住まい手の個性は、むしろ取り込む家具や小物、普段着などによって表現される方が自然ではないかと考えています。だから、住まいそのものをいたずらに彩色・デコレーションするのではなく、よりシンプルに研ぎ澄ませることで、何十年経っても飽きのこない上質なキャンバスのような存在となります。「色を引き算するから色褪せない」とはちょっと乱暴な表現ですが、何年経っても、建物自体の個性が鼻につくようなことがありません。また、オーナーが世代交代することで、差し色も変わり、その家に新たな生命が吹き込まれていきます。

 

 

|キノイエ|新潟県上越市・妙高市・糸魚川市の注文住宅|木の家づくり工務店|

塩屋新田の家に設置されたオリジナル製作のソファ。向日葵色(ひまわりいろ)のファブリックが一つ入るだけで、オーナーの人柄や趣向イメージがガラリと変わります。

 

 

キノイエ

 

 

キノイエは、住まい手の個性を最大限引き出す「引き算」の思想で家づくりを行います。

 

 

 

|キノイエ|新潟県上越市・妙高市・糸魚川市の注文住宅|木の家づくり工務店|

 

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「引き算」する設計


June 25, 2016

キノイエ 外装 糸魚川産の杉板を使用

June 25, 2016

日本の住宅は、世界の先進地域からみればまだまだ発展途上ではあるものの、技術・性能共にそれなりに進化の道を歩んできました。今やどの住宅会社のチラシを見ても「高気密・高断熱」「耐震」「ゼロ・エネルギー・ハウス」などなど、技術の進歩が生み出す性能についてたくさんのことが語られています。それはそれで悪いことではないのだと思います。一昔前は「欠陥住宅」に出会わないことが重要なテーマでしたから、その違いは歴然です。

 

では、「暮らしやすさ」についての進化はどうでしょう?家の性能は上がって、私たちの暮らしはどう進化したのでしょう?今回は、そんなことについて考えてみたいと思います。

 

その前に、そもそも、「暮らしやすい家」とは何なのでしょう?それは、その家の中に快適で居心地のいい「場」がどれだけあるのか?ということに大いに関係がありそうです。

 

これまで多くの住宅会社が行ってきている家づくりの進め方、それは、まずご家族の要望をお聞きして「間取り」にまとめることから始めます。お客様にとっては、夢がふくらむとても楽しい瞬間でもあります。ところが、その反面、様々なよくない現象が起こります。これはよく聞くケースですが、営業やプランナーが御用聞きのようにお客様の意見をどんどん聞いてプランをしていくと、部屋どうしの連なりに欠け、小部屋ばかりが多くなり、結果として家のサイズも随分と大きくなってしまった。それなのに、家族の生活が変化するとほとんど使われず、物置と化す部屋ができたり、家の中に寒い場所と暑い場所の差が発生したり、家族の気配が途切れたり・・・実は家づくりでいちばん大切な「居心地の良い場」の創造が、単なる間取りの足し算に終始してしまっていたりして、何とも住みづらい結果を招くケースも少なくありません。それではいけないと、今度は反対に、最初から決められた「売れ筋の」間取りパターンに「生活を合わせる」という家づくりも増えていったように思います。

 

その点で言えば、まるで進化とはいいがたい、いや、むしろ後退ともいえる現象が家づくりの現場で起こってしまっているように感じます。なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょう?最大の原因、それは「暮らしやすさ」のため、ちゃんと「引き算する設計」ができていないからです。実は足し算よりも引き算することの方がとても難しい芸当なのです。

 

キノイエでは、敷地全体を家と考え、切れ目のない、心地よい「場」を展開する設計術を最大の価値と考え、引き算する設計に磨きをかけてきました。家の前を通る人の目、そこに住む人が、景観を楽しむための視線、健康で、なおかつ暮らしを充実させるための工夫・・・そこにこだわり、その家での暮らし方にフォーカスしていきます。平面プランは、敷地図に家の形を配置するところから始めます。 ベース(母屋)とゲヤ(下屋)、どこに窓があると気持ちいいか(視線や風)、道路とのつながり、庭とのつながり、太陽との関係、隣家との間隔などなど…そういった、居心地と快適さに関わる重要な要素を一つずつ検討していきながら、空間の全体像を決めていきます。「○○部屋を○畳」という足し算設計はしません。また「南側玄関○○坪プラン」と言ったような、形の決まった「規格型住宅」の手法もとりません。スケルトン(構造)は、概ね標準化をしていますが、インフィル(内部)は自由。その土地・暮らし方に合わせ提案する「暮らし提案型住宅」なのです。

 

ベースとゲヤの内部のレイアウトは、そうした「下ごしらえ」をきちんと行った後につくられますので、プランの根拠に迷いと矛盾がありません。素材は、私たちが厳選した素材を提案・標準化していますので、コストが安定しています。だから、結果としてコンパクトでハイクオリティ、かつコストバランスの良い住まいが生まれるのです。

 

これが「小さな邸宅」の考え方の原点です。キノイエのこうした家づくりの考え方に共感していただける方に、ぜひ一度、足を運んでいただき、居心地のよい空間を直接五感で感じとっていただければ幸いです。

 

心地のいい空間 キノイエ 外観

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